CASE STUDY40
チューブタイプの塗布具付きマスカラ。専用のシゴキゴム圧入治具を開発し、生産性向上&品質不良を防止

ボトルタイプの塗布具付きマスカラ容器の製造においては、百戦錬磨の実績を誇るプラシーズですが、チューブタイプは今回が初めての挑戦でした。
手作業で行われるシゴキゴムの圧入工程で問題が浮上。柔らかさゆえにチューブ本体が潰れてしまうという課題をどのように克服したのか…。開発担当者にその苦労と創意工夫について話を聞きました。
塗布具付きキャップの製造と組み立て工程を担当
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?
チューブタイプの塗布具付きマスカラ容器を製造しました。昨年秋に受注した新製品で、多彩なカラーバリエーションで、絵の具をイメージさせるデザインが特徴です。
チューブ本体は他メーカーから調達し、プラシーズでは塗布具付きキャップの製造および組み立て工程を担当しました。
チューブ容器が柔かいため、シゴキゴムの圧入が困難
—-どのような課題がありましたか?
チューブ容器の口元にシゴキゴムを圧入する工程で、思わぬ問題が発生しました。
圧入工程は作業員が手作業で行います。硬いボトルタイプなら、シゴキゴムの先端をピンセットで潰しながら圧入することができるのですが、今回の製品は柔らかいチューブタイプなので、シゴキゴムが入れづらく、手で握った部分にシワができてしまうんです。
シゴキゴムを本体を潰さないように圧入するために、予想以上の時間と労力を要しました。また、作業員のスキルの違いによる品質のバラツキも課題でした。
シゴキゴムとは、軸についた中身を削ぎ落とすための部品です。中身の液体が外にあふれ出て固まることや、しごき中栓が抜けて外れるといったマスカラの弱点を克服するために、技術開発部が総力をあげて研究開発しました。
シゴキゴムを容器肩部の段差に引っ掛けて固定するため、容器口元の内径よりもシゴキゴムの径のほうが大きく作られています。この構造によりシキゴムが外れにくい設計となっていますが、同時にこの構造により圧入作業が難しくなっています。
口元をカバーする専用治具を開発し、作業時間と不良率を大幅カット
—-創意工夫した点を教えてください。

写真の専用治具は初期モデル。現在は改善を重ねてコンパクト化されている
チューブの口元をカバーする専用治具を開発しました。チューブの口元に治具をはめ込み、自動圧入装置にセットしてシゴキゴムを圧入。仕上げに専用の押し込み治具を使って、シゴキゴムを押し込んで完成させます。
治具なしではチューブが変形してしまい、圧入作業自体が難しかったのですが、専用の保護治具を導入し、一部作業を自動化したことで、圧入作業が容易になりました。それに加えて、圧入時間がかなり短くなり、1個につき15秒程度で圧入できるようになったんです。
また、圧入する際の本体への傷リスクが改善したため、不良品が減少。作業者ごとに生まれる品質のバラツキ防止にもつながりました。
完全自動化に向けた研究開発を推進
—-今後の課題や展開についてお聞かせください。
現状、4工程のうち3工程を手作業で行っていますが、完全自動化に向けて、さらに研究開発を進めています。
プラシーズではこれまでも、必要に応じて専用の治具や自動化・省力化装置を開発することで、生産性向上や現場改善を行ってきました。今回の事例以外にも、専用治具を開発して生産性を向上した事例が数多くあります。そちらも合わせてご覧ください。
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