CASE STUDY35

超音波で製品に触れずにゲート処理が可能に。後処理不要で省人化とリードタイム短縮、精度向上も実現

超音波で製品に触れずにゲート処理が可能に。後処理不要で省人化とリードタイム短縮、精度向上も実現

樹脂製の容器には必ずついてまわるゲート跡。より美しく仕上げるために、ゲート処理にも工夫と技術が求められます。

プラシーズでは、この処理にニッパーでもなくプレス機でもない、本来は溶着するための「超音波機」を使うことで、効率的かつフラットに仕上げることに成功しました。

発想の勝利ともいえる今回の課題解決プロジェクト。当時の担当者に苦労したところや工夫した点について話を聞きました。

不良につながるゲート跡が長年の課題

—-どのような課題がありましたか?

不良につながるゲート跡が長年の課題

樹脂製容器の場合、樹脂を注入するためのゲートが必ず設けられています。今回のミニボトル容器はキャップの天面にピンゲートがつけられていたため、成形後にそのゲート跡を押し潰してフラットに仕上げる必要がありました。

しかし、材質がPP(ポリプロピレン樹脂)といってやわらかい樹脂のため、プレス機でいったんは押し潰せても、時間が経つと起き上がってきてしまうんです。これまでは飛び出しているゲート跡を一つ一つ手作業でカットしたり、熱をかけて潰したりして処理していました。

処理前のキャップ

処理前のキャップ。天面中央にポチッとゲート跡が突き出ています。

手作業でカットするのにも技術が必要ですし、切りカスが容器に付着する原因にもなっていました。一方、熱でゲート跡を潰す方法は、熱板の形状が複雑でコントロールしにくく、余分なところまで溶かしてしまうミスが発生していました。

何をやっても完璧な仕上がりにならない…。全数検査をかけても不良品が出てしまい、クレームの対象となっていました。

製品に触れずに超音波処理でゲート跡を溶かす

—-どのように課題を克服しましたか?工夫した点を教えてください。

処理後のキャップ①

処理後のキャップ②

処理後のキャップ。限りなくフラットな状態に仕上がっています。

救世主となったのが「超音波機」でした。

超音波機は本来、物と物を溶着するのが得意な機械。私たちが着目したのは「プリトリガ」という機能です。製品に触れる前から発振する設定モードで、これならキャップ本体を傷つけることなく、飛び出したゲート跡のみを溶かすことができると考えました。

成形直後に音波処理できるように、搬送コンベアに設置可能な小型の音波機を新たに導入しました。汎用性を持たせるために、ミニコンベアと製品位置決め機構、超音波装置を一体化させた構造を自社で開発・製造。成形サイクル工程内でゲート処理まで行うことが可能になりました。

品質を担保しながらコスト削減

—-超音波ゲート処理で得られるお客様のメリットはなんでしょうか?

ゲート跡を処理する後工程を削減できたことは、お客様にとってもプラシーズにとっても大きなメリットと言えます。1工程を削減できたことで、1.5人分の省人化を実現。リードタイム短縮とコスト削減、さらには不良率が減り、品質向上にもつながっています。

ゲート跡を目立たなくするために裏面に設けようとすると、金型が複雑になって初期費用が1.5〜2倍に跳ね上がってしまいます。超音波処理ならきれいに仕上がるので、コストを抑えたい試供品ボトルなどにはおすすめです。

タスクフォースで新しい価値を生み出す

—-今後の課題や展開についてお聞かせください。

プラシーズでは毎週、タスクフォースで改善会議を行っています。今回のゲート処理問題は以前から議題に上がっていた課題の一つ。お客様からのミニボトル容器の製造依頼をきっかけにプロジェクトを立ち上げ、課題解決に乗り出した経緯があります。

物と物をくっつける超音波機を、切り離すために使うという発想の転換は、営業や開発技術など部署を横断してメンバーが集まり、互いのアイデアや知恵を出し合って生まれたものです。

今後も課題意識と斬新なアイデアで、新しい価値を生み出していきたいです。

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