CASE STUDY30
シゴキゴムを折り曲げてマスカラ容器に挿入する工程を自動化。納期短縮と品質向上を実現
「マスカラの長寿命化」というミッションを受け、技術開発チームが総力をあげて研究開発したシゴキゴム。必要な機能を網羅した設計は完璧でしたが、仕上げ工程に課題が…。
「ゴムより細い容器にどうやって挿入したの?」とクライアントも興味深げだった今回の難解プロジェクト。「シゴキゴムをマスカラ容器に挿入する」一見単純な作業に開発した専用治具は3種類、つくった手まめは数知れず…。量産化に至るまで5年以上を費やしました。
開発担当者の山名さんに、自動化した経緯や苦労したことなどについて話を聞きました。
最後までキレイに使いきれるマスカラ容器
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?
マスカラ容器について「最後までキレイに使いきれる容器にしてほしい」といったご依頼内容でした。
中身の液体が外にあふれ出て固まってしまったり、しごき中栓が抜けて外れてしまったり…といったマスカラの弱点を克服するために、技術開発部が総力をあげて研究を重ね、シゴキゴムを開発しました。
この土管のような形状に、必要な機能がすべて網羅されています。
作業員の手にまめ…負担も大きく生産性も悪い
—-どのような課題がありましたか?
シゴキゴムの設計は完璧で、お客さまにもご満足いただけたのですが、マスカラ容器にシゴキゴムを挿入する仕上げ工程に課題が残りました。
容器肩部の段差にシゴキゴムを引っ掛けて固定させるため、容器口元の内径よりもシゴキゴムの径のほうが大きく作られています。外れにくい設計、それはつまり、入れづらい…ということでもあるんですよね。
開発当初は、専任の作業員が一つ一つ手作業で、シゴキゴムの先端をピンセットで潰しながら挿入していました。圧力をかけて潰すので手にまめができてしまい、交代で作業。1人につき日産2,000個が限界でしたね。
作業員の負担が大きく、生産性も悪い…。シゴキゴムを潰して容器に挿入するこの工程を自動化して、スタッフの負担軽減と量産につなげるべく、全自動マシンの開発に着手。5年以上の歳月をかけたビッグプロジェクトの幕開けとなったわけです。
専用治具と自動化する装置を開発して量産化に成功
—-どのように課題を克服しましたか?工夫した点を教えてください。
全手作業が全自動化されるまでに5年以上、その間3つのステップを踏んでいます。
最初に開発したのは「押し込み治具」です。形状や素材選びなど、現場作業員の要望を取り入れながら吟味を重ねました。これがすべての原点。わが子のように愛着があります。会社を辞めるときに持って帰りたいくらいです(笑)
次に開発したのが「二つ折り治具」です。ピンセットで潰しながら挿入する工程を改善するため、専用治具にシゴキゴムをセットし、エアシリンダで二つ折りにする構造を考案。治具ごと容器口元に圧入し、シゴキゴムと治具の間にストッパーを入れ、治具を引き抜くとシゴキゴムだけが残る仕組みです。
そして、度重なる改良を経て完成したのが「全自動マシン」です。
生産性を最大化するために、容器の投入をインデックス方式にし、シゴキゴムの投入もパーツフィーダーで整列させ、投入専用治具を2ヵ所に設置し、ゴムセット後の押し込みも自動化。日産数を10,000個まで伸ばすことができました。
納期短縮とコスト削減、品質向上を実現
—-自動化によるメリットはなんでしょうか?
生産性が大幅にアップしたことにより、納期短縮とコスト削減が可能になりました。さらに、リーク検査とCCDカメラによるシゴキゴム内径および外観検査を自動化ラインに導入し、さらなる品質向上を図っています。
—-今後の課題や展開についてお聞かせください。
完成した全自動マシンですが、改善の余地はまだあります。ボトル底部の安定しないものや、芯の出しづらい形状非対称ボトルの生産は今のところできません。
インデックス用位置決め治具を工夫し、受注した製品はすべて生産できるよう、さらなる改善を図りたいと考えています。
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