CASE STUDY37
透明・軽い・衝撃に強い「アイオノマー」を使った超肉厚キャップ。独自の冷却技術で高い寸法精度を実現

ヨーロッパで香水のキャップに使用されていた樹脂、アイオノマーを日本で初めて化粧品容器に採用したのは、何を隠そうプラシーズなんです。
アイオノマーは優れた性質を持つ一方で、成形技術が極めて難しく、日本に持ち込まれてから30年以上が経過した今も、プラシーズが有する技術力は他社に追随を許しません。
今回は試行錯誤を重ねて辿り着いた、独自の冷却技術について深掘り。「超肉厚×嵌合物」ゆえの難しさや工夫した点について話を聞きました。
肉厚容器に適した樹脂「アイオノマー」を採用
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?

ガラス瓶のボトルに嵌合する、透明で超肉厚なキャップです。お客さまから樹脂素材に「アイオノマー」を使用したいというご要望がありました。
「アイオノマー」は樹脂の中でも透明性が高く、PETに比べて軽量な樹脂。低温で成形できるため、肉厚でも収縮が起こりにくく、高い寸法精度の維持が可能で、仕上がりの美しさも秀逸なんです。
今回は「アイオノマー」の実績が豊富なことから、プラシーズにお声がけいただきました。当社では透明で肉厚な容器に「アイオノマー」を提案することが多く、独自のノウハウで成形精度を高めています。お客さまからはそのような点を評価いただけたのではないでしょうか。
成形直後の冷却方法を独自に開発
—-どのような課題がありましたか?創意工夫した点を教えてください。
多くの優れた性質を持つアイオノマーですが、非常にデリケートな樹脂であるため、成形難易度が高いのが難点です。
低温で成形を行うと樹脂の流動性が弱まり、金型に樹脂が流れにくくなります。また、水分を含むと成形条件が複雑になるため、常に湿度を管理しながら除湿・乾燥を行う必要があります。
とくに肉厚成形品の場合は、成形直後に急速に冷却しないと、白濁や表面に凹凸が生じてしまうので、作業は時間との闘いでもありました。表面だけでなく深部まで均一に冷やす必要があり、冷却には苦労しましたね。試行錯誤の末、成形品を冷水の中に浸すという方法に辿り着きました。
もっとも苦労したのは、嵌合のずれを防ぐため、公差内(許容される寸法誤差の範囲)に納めることでした。ただでさえアイオノマーの成形は難しく、寸法誤差を最小限に抑えるには、極めて高度な技術が必要になります。今回のケースでは、嵌合部に専用の治具を嵌め込み、冷水の温度と冷却時間を厳密に管理することで、高い寸法精度を実現しました。
ガラスやPETよりも軽量で扱いやすい
—-超肉厚容器にアイオノマーを使用する理由はなんでしょうか?


アイオノマーを使用したキャップの製品事例
超肉厚という観点から、「軽さ」はアイオノマーの大きな強みです。
20mmを超えるような超肉厚の場合、ガラスやPETだとかなりの重量になってしまいます。ガラスはいうまでもなく、PETでさえアイオノマーの1.3倍の重さがあります。本体のように置いておくだけならまだしも、頻繁に開閉するキャップが重いとストレスになりますし、倒れやすく安定感にも欠けますよね。
30年にわたって培った豊富な実績と独自のノウハウ
—-プラシーズに依頼するメリットはなんでしょうか?
卓越した成形技術、その一言に尽きます。
アイオノマーは優れた性質を持ちながらも、同業他社が積極的に採用しない理由は、成形が極めて難しいからです。
アイオノマーは温度や水分に敏感で、加重にも弱く、非常にデリケートな樹脂です。アップグレードされて扱いやすくなったとはいえ、それでも樹脂中の水分量をコントロールするのは至難の業。とくに、ガラス製のボトルと組み合わせる場合、嵌合のずれによる品質トラブルを引き起こす可能性もあるため、嵌合部の寸法精度はより緻密さが求められます。

アイオノマーを使用した肉厚クリーム容器
日本で化粧品容器にアイオノマーを採用したのは、プラシーズが先駆けでした。もともとヨーロッパで香水のキャップに使用されていましたが、30年ほど前、先々代の社長がアイオノマー樹脂の可能性を見抜き、製造メーカーがあるスイスまで工場見学に行ったのが始まりでしたね。

肉厚が不均一な複雑形状にも対応
最初に手がけた化粧水容器のキャップがお客さまから高い評価を得て以来、複雑な形状の香水キャップや、超肉厚なクリーム容器など、アイオノマーを使用したさまざまな容器を手がけてきました。さらなる精度向上に取り組み、技術とノウハウを着実に進化させています。
アイオノマーは滑らかで柔らかい手触りが心地よく、光沢のある質感からも、化粧品容器に適している樹脂といえます。香水キャップのように肉厚で特殊な形状の容器にも、豊富な実績に培われたプラシーズの卓越した技術で対応いたします。
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