CASE STUDY02

️肉厚が不均一な複雑形状、インサート成形を駆使してガラスと見間違う透明感と無駄のない美しさへ到達

図面を忠実に再現すべく、大きさと肉厚の限界に挑戦。ガラスのような質感と透明感を再現。

2006年にメナード化粧品さまから発売された「緑映 パヒュームドパウダー」。当社ではこの容器の製造を手がけました。「実物を手にした瞬間、皆さんその軽さに驚かれるんですよ」と嬉しそうに話す開発部リーダー。ガラスと見間違うほどの透明感と洗練された美しさへ辿り着くのに、気が遠くなるくらいトライ&エラーを繰り返したと言います。当時を振り返り、開発エピソードについて聞きました。

〜ココに注目!〜
◉透明度の高い樹脂素材「アイオノマー」を選定。
◉インサート成形技術を用い、複雑形状の成形を可能に。
◉豊富な経験値により偏肉の成形条件の最適化に成功。

ガラスのような重厚感と透明感
洗練された美しさを表現したい

—-お客さまからどのような依頼がありましたか?

日本の繊細な美学を表現したフレグランスシリーズ「緑映」から発売される、パヒュームドパウダーの容器を作ってほしいとのご依頼内容でした。本来ならガラスで造るところを、125mm角という大きさから重量オーバーとなってしまうため、当社に引き合いをいただきました。

お客さまの要望としては「ガラスのような重厚感と透明感を出したい。また、無駄のない洗練された美しさを表現したい」とのこと。さらに、ミニマムな外観へのこだわりから、「アンダーカットや廻り止めが見えないようにしたい」とのリクエストもありました。

コンパクトの課題

肉厚が不均一な複雑形状
成形条件を出すのが困難

—-お客さまの要望を叶えるために、どのような課題がありましたか?

本体については、角の肉が厚く平面の肉が薄い特殊なフォルム。肉厚が不均一なので、成形条件が出しにくいといった難しさがありました。

一方、蓋については、極限まで薄くして軽量化を追求。4mmという薄さで125mm角の大きさに成形するには、耐久性に問題がありました。

コンパクトの複雑な形状

アイオノマー樹脂を使って
インサート成形技術を駆使

—-どのように解決しましたか?

肉厚が不均一な本体については「インサート成形法」を用い、2回に分けて成形しました。

インサート成形とは、金型にあらかじめ金属のネジなどのインサート品を入れ、そのまわりに樹脂を注入して一体に成形する技術です。通常は異素材を複合成形するために用いられる成形法ですが、今回は同じ樹脂素材を2回に分けて成形することで、肉厚の違いから生じる収縮のバラつきや厚肉部のひけを防ぐことがねらいでした。また、同食同素材の場合は金型1型でインサート成形できるので、イニシャルコストを抑えることにも成功しました。

ここでポイントになるのが、インサートの形状です。というのも、インサートをどのように設計するかで外観の見栄えが変わってきます。理論値で測れるほど単純なものではなく、やはり経験値がものを言います。

さらに、透明感を出すために、材料選びにもこだわりました。今回はアイオノマー樹脂を使用。透明性が高く、低い温度でも成形できる性質があり、肉厚の製品に適しています。素材特性を熟知した独自のノウハウも、当社の大きな強みと言えます。

あとは、成形条件ですね。圧力やスピード、金型の温度など、パラメーターの組み合わせは何千万通りにも及びます。成形条件を最適化するのに、気が遠くなるほどトライ&エラーを繰り返しました。

—-蓋について工夫したことはありますか?

蓋については2パーツにすることで、薄さと強度を両立。表面に当たる蓋を透明にすることで薄く見せ、さわやかな印象に仕上げました。

また、廻り止めやアンダーカットが見えないように銀箔のスタンプをした結果、高級感を損なわずに、見た目の美しいパウダー容器を完成させることができました。

見た目の美しいパウダー容器

今回のものづくりは、「いかにしてお客さまのこだわりが詰まった図面を忠実に再現するか」がテーマでした。これまで培った知見と経験をもってしても、非常に難しい案件でしたね。苦労した甲斐あって、この「緑映 パヒュームドパウダー」は2006年の発売以来、今もなお継続して販売されているんですよ。

最近ではパウダーの種類も増え、ルースパウダーだけでなく、プレストパウダーやベビーパウダーが流行するなど、内容物も多様化しています。しかし、持ち運び時にたくさんの粉がパフに付着してしまったり、衛生的に感じられないなど、お客さまの悩みは尽きません。

今後はお客さまのニーズに応える力を最大限に生かし、多様なパウダー容器の開発にも取り組んでいきたいです。