超肉厚樹脂でつくる香水キャップ!高難度成形でガラスのような美しさを表現!

超肉厚樹脂でつくる香水キャップ!高難度成形でガラスのような美しさを表現!

香水の容器デザインはどれも個性豊かで、思わず目移りしてしまう魅力があります。
購入する際には、香水の中身だけでなく、容器の見た目を重要視する方も多いのではないでしょうか。

そんな香水の容器といえばガラスで出来ているイメージが強いと思いますが、キャップなどの一部パーツにはプラスチックが用いられることもあります。

今回の記事ではプラスチック容器を製造するプラシーズが、プラスチックでつくる香水キャップについてご紹介します。

オリジナル容器のリードタイム短縮

香水の容器はなぜガラス?

香水の容器はなぜガラス

香水の容器=ガラスビンのイメージをお持ちの方は「香水のキャップだけでなく、ボトルもプラスチックでつくれないの?」と疑問に思うかもしれません。
この香水用ボトルの多くがガラスで出来ていることには、大きく2つの理由があります。

香水の成分にアルコール(エタノール)が含まれている

香水は、トップノート、ミドルノート、ラストノートと呼ばれるように揮発時間を調整することで香りの変化を楽しむことができます。そのため、複雑で豊かな香りを長時間持続させるために様々な香料が使用されています。この香料をアルコールと精製水でできた溶液に溶かして混ぜ合わせることで、香水が出来ています。

アルコールは有機溶剤の一種のため、他の物質(溶質)を溶かす性質を持っています。この溶剤を入れる容器としてプラスチック製のボトルを使用すると、香水にプラスチックの成分がしみだしてしまい、香水の劣化に繋がります。

また、プラスチックに香水の成分がしみだすことで、プラスチックが柔らかくなって破損してしまう恐れがあるため、香水の容器には有機溶剤で溶ける心配のないガラスが使用されます。

香水は成分が変質しやすくデリケート

香水の中身をはじめとした、物質が変質してしまう要因には「熱」「光(紫外線」「温度変化」「酸素」といったものがあります。

プラスチックの中には、これらの外的要因に対して高い耐性をもつものもあるため、一般的な化粧品にはプラスチック製の容器が多く採用されています。
しかし、香水の中身は普通の化粧品以上にデリケートで、外部環境の影響を非常に受けやすい特性を持ちます。

香水の中身が変質してしまうと、香水本来の色や香りの変化が損なわれてしまいます。
ガラスビンはプラスチックよりも外部環境の影響を受けにくい材質のため、香水の品質を保つ上で適した容器と言えます。

香水のキャップはプラスチックでつくれます!

香水のキャップはプラスチックでつくれます

ここまで、香水のボトルにはガラスビンが使われる理由をお伝えしてきました。
「じゃあプラスチックが香水容器に使われることはないの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません!

プラシーズでは香水のキャップやボトルの加飾パーツなどの「嵌合物(かんごうぶつ)」をプラスチックでつくることで、より美しく、より使いやすい香水の容器をつくることができます。

香水のキャップをつくる際の懸念点

ボトルとキャップを別々の容器メーカーに依頼する場合、一番の懸念点となるのは「ボトルとキャップがぴったりと嵌合できるか」です。嵌合部の設計に少しでもずれが生じてしまうと、様々な品質トラブルの元になってしまいます。

嵌合のずれによる品質トラブル

  • キャップがすぐ外れてしまう、または取ることが出来ない
  • 中身が漏れてしまう
  • 嵌合部から空気が入ってしまい、中身が変質してしまう

特にプラスチック製の香水のキャップは、ガラス製のボトルとの組み合わせになるため、嵌合部の設計の正確性はプラスチック同士の嵌合と比べ、より重要になります。

また、香水の容器には見た目の美しさも強く求められます。
見た目を美しくすることで、香水の香りやブランドのイメージが消費者に正しく伝わり、購買意欲にも繋がるためです。

このように、香水の容器は「見た目の美しさ」と「機能性」の両方をみたす事がとても重要になります。

容器に必要な機能については、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧下さい!

化粧品容器に備わる4つの機能〜美しさに隠された機能性~

プラスチックでも、ガラスそっくりの香水用のキャップをつくるには?

プラスチックでも、ガラスそっくりの香水用のキャップをつくるには

ガラス瓶で高級感や見た目の美しさを出すことができても、キャップとのバランスや色調などを考えなければ印象はガラっと変わってしまいます。

そのため、「香水のキャップにはプラスチックのように便利な材料を使いたいけど、できるだけガラスの見た目に近づけたい!」というご要望もあると思います。

実は、プラスチックを使用したキャップでも、まるでガラスビンのように透明度が高く肉厚な形状を表現することは出来ます。

ガラスのように透明で、衝撃に強い樹脂「アイオノマー」

プラシーズでは一般的なプラスチック樹脂の他に、「アイオノマー」という樹脂を香水のキャップに採用した実績がございます。

アイオノマーとは、エチレン系アイオノマーと呼ばれる合成樹脂で、一般的な樹脂とは異なる分子構造を持っていることが特徴です。
例えば、熱によって分子の結合力が変わるという性質を持っており、加熱すると分子同士の結合力が弱くなって、冷却すると強くなります。
この性質により、一般的なプラスチック樹脂と同様に成形することが可能で、冷却するとイオン結合が強まるため強い強靭性を持ちます。

このアイオノマーの特殊な分子構造は、耐摩耗性や適度な弾力性・柔軟性などの性能をもっています。その衝撃の強さは、ゴルフボールの材料に採用されるほどでありながら、ガラスのように透明性が高いという特徴も持っています。
このような優れた性質から、プラシーズでは香水用のキャップの他に、肉厚な高級クリーム容器にもアイオノマーを採用した例があります。

アイオノマーでキャップを成形するメリット

香水用のキャップをアイオノマーで成形するメリットは以下の通りです。

・ひけが出にくい
低い温度(180℃~200℃)で成形が可能なため、ガラスビンに合わせて肉厚な形状のキャップを成形した際に収縮が起きにくいです。
そのため、ひけのない綺麗な形状のキャップに仕上げることが出来ます。

・耐薬品性が高い
アイオノマーは、ポリエチレンの中でも特に耐薬品性に優れた樹脂です。
そのため、香水の中身に含まれている有機溶剤にも、ある程度耐えることが出来ます。

アイオノマーでキャップを成形するデメリット

一方で、香水用のキャップをアイオノマーで成形する際のデメリットもあります。

・成形難易度が高い
先述した通り、アイオノマーは低い温度で成形をおこないます。
ですが、温度が低い状態だと樹脂の流動性が無くなるため、金型に樹脂が流れにくくなります。このことから、アイオノマーでキャップを成形する難易度は非常に高いです。

・二次加工の接着が難しい
プラスチックを溶かす有機溶剤は、その特性を活かして印刷用のインクやホットスタンプ用の箔の接着材にも含まれています。
アイオノマーは有機溶剤に強い耐性があるので、その分印刷やホットスタンプの接着にも耐性がついてしまい、加飾が難しくなります。

プラシーズの工夫

プラシーズのアイオノマーを使用する工夫

プラシーズではアイオノマーを使用する肉厚成形において、冷却方法に重きを置いています。

ただでさえ難易度の高いアイオノマーを肉厚で成形をするとなると、難易度はさらに上がります。肉厚成形品は、成形直後に急速に冷却しないと白濁してしまったり、表面に凹凸ができてしまったりします。そして表面だけではなく深部まで均一に冷やさなければいけないため、冷却方法を工夫しました。

試行錯誤の上プラシーズがたどり着いたのが、成形品を冷水に浸すという方法です。
冷水の温度や冷却時間を厳密に管理し、ボトルとの嵌合のズレを防ぐため、嵌合部に専用の治具を嵌め込み冷却する場合もあります。

この冷却方法の工夫により、アイオノマーを使用した肉厚成形を実現する事ができました。

香水のキャップづくりをご検討の際はプラシーズにご相談ください!

アイオノマーを使用した容器の成形は非常に難易度が高いため、香水キャップのような製品に採用したことのある企業はそう多くありません。実はアイオノマーを日本で初めて化粧品容器に採用したのはプラシーズという歴史もあります。

長年化粧品容器づくりに携わってきたプラシーズでは、経験とノウハウを活かして、難しい成形条件をクリアした成形が可能です。アイオノマーを使用した香水キャップ以外にも木や竹を使用したキャップなどプラスチックではない素材でも製造しています。

香水の容器に関する更に詳しい情報や、容器についてのご相談をご希望の方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください!

\ 定期的に記事を読みたい方へ /

メルマガ登録でいち早く記事の更新情報や製品情報をお知らせいたします

メールマガジンのご登録
はこちらから

その悩みプラシーズに相談してみませんか?

  • 自社一貫生産によりワンストップ・トータルパッケージでご対応
  • 理想の容器のための独創的な「企画・提案力」
  • 1932年創業だからこそできる技術力であらゆるニーズに対応可能

お電話でのお問い合わせ

03-6858-3561

受付時間:平日 10:00 ~ 17:00(土日・祝日除く)