CASE STUDY06

美しくて機能的、サスティナブル!持てる技術を結集した未来へつなぐ透明口紅容器

80種類以上の多彩なカラーバリエーションがコンセプトのリップスティック。1年以上の歳月を費やし、2006年4月に完成しました。
その魅力を最大限にアピールするうえで、透明な容器が重要な役割を担っていることは言うまでもありません。肉厚フォルムでありながら、中身が鮮明に見える透明度の高さをどのようにして再現したのか…。サスティナブルなものづくりを可能にした独自の技術とは?
「究極の口紅容器」と自負する開発リーダーの田中さんに、開発ストーリーを聞きました。

〜ココに注目〜
◉肉厚フォルムでありながら高い透明性を再現
◉機能的でありながら外観はすっきりミニマム
◉簡単分別!リフィル対応のサスティナブル仕様

紅の色をクリアに見せたい
肉厚でありながら高い透明性を再現

—-お客さまからどのような依頼がありましたか?

80種以上のカラーバリエーションが揃う口紅容器の製造です。

商品コンセプトを最大限に生かすために透明な容器であること。そして、高級感を演出するために、ボリュームのある肉厚フォルムにしてほしいとのご要望でした。

透明の口紅というと子ども向けの低価格帯が多く、チープな印象になりがちなんですが、肉厚にすることで重厚感のある洗練された雰囲気を醸し出すことができます。

これまでもメナード化粧品さまをはじめ、肉厚感のある高級ラインの透明容器を数多く手がけてきた当社にとって、肉厚な透明容器の製造は得意分野でもありました。

—-お客さまの要望を叶えるために、どのような課題がありましたか?

肉厚な透明容器は成形する際に白く濁ってしまうことがあるので、透明感を出すには高度な技術が求められます。

また、できるだけシンプルでミニマムな外観にするために、設計や構造から見直す必要がありました。

サスティナブル仕様で環境にも配慮
三拍子揃った究極のリップ容器が誕生

—-そうした課題解決のために、工夫した点を教えてください。

課題解決の工夫

今回のプロジェクトは、私たちの持てる技術を結集した究極のリップスティックと言っても過言ではありません。ポイントは大きく分けて3つあります。

まずは、私たちが得意とする「インサート成形」です。

肉厚のリップ本体はインサート成形を用い、2回に分けて成形しました。インサート成形とは、金型にあらかじめ金属のネジなどのインサート品を入れ、そのまわりに樹脂を注入して一体に成形する技術です。

通常は異素材を複合成形するために用いられる成形法ですが、今回は同じ樹脂素材を2回に分けて成形することで、肉厚の違いから生じる収縮のバラつきや厚肉部のひけを防いでいます。

リップスティックのインサート成形

次に、プラシーズ独自の技術である「一条螺旋」です。

中身がよりクリアに見えるように、中の溝の機構を一条螺旋にしています。口紅容器を製造する場合、一般的には二条螺旋にするのですが、二条螺旋は螺旋が2本になるため、中身と被る面積が多く、中身が見えにくくなってしまいます。その点、螺旋が1本ならば、中身と被る面積が少なくて済み、中身がよりキレイに見えます。

ただし、一条螺旋は中皿が傾きやすいため、紅の繰り出しをスムーズにするのが非常に難しいんです。各パーツの寸法のクリアランスが最適で、高精度に制御されていること。また、潤滑剤のグレードと組み立てるときの塗布量によっても、仕上がりが違ってきます。

一条螺旋の口紅容器には、当社のノウハウや技術力が詰まっています。一条螺旋を用いた口紅容器は未だ見たことがありませんね。

口紅容器の一条螺旋

さらに、一条螺旋にすると紅が傾くので、それが逆にストッパーの役割を果たしてくれるんです。口紅を塗っているときにリップが下がってしまう「カップダウン」現象を防ぐことができるので、使用感のよさはもちろん、カバンの中に入れ持ち運びする際に勝手に上がってきて蓋を汚すことも少なくなりました。

アール螺旋構造

最後に、螺旋の断面をアールに加工した「アール螺旋」構造です。

こちらも当社が開発した独自の技術です。アール螺旋のメリットは、仕上がりの美しさに加えて、容器を簡単に分解できること。サスティナブルなものづくりにもつながります。

当時の口紅容器は、上から見たときに中の構造が見えてしまい、あまりカッコのいいものではありませんでした。それがアール螺旋にすることによって断面が覆い隠されるので、上から見てもすっきりとスタイリッシュな印象に仕上がります。

そして、上から本体に被せてプレスするだけでよく、メカの嵌め合いもアンダーカット式なので、すべてのパーツを比較的簡単に分解することができます。

これにより、紅を繰り出すメカパーツとハカマを脱着できるので、リフィルにも対応可能です。また、この先プラの種類で細かく分別するニーズが求められた場合にも、消費者がすべてのパーツを簡単に分解して回収できれば、環境配慮につながります。

今後はプラシーズの重要テーマである「サスティナブルなものづくり」にフォーカスし、このようなリップ容器を当社のオリジナルモールドとして、市場にぶつけていきたいと考えています。早くコロナを克服して、リップ・ルージュの復活に貢献したいですね。