CASE STUDY05
プラスチックと紙の技術を融合した未知なるものづくりに挑戦
老舗プラスチックメーカーが、なぜ紙? そんな素朴な疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。今回のプロジェクトの仕掛け人は、新規事業部の開発リーダーを務める阿部 賢一さん。紙器づくりの経験やノウハウを遺憾なく発揮し、プラスチックと紙の技術を融合させた、世界初となる「紙製繰出式口紅容器」の開発に成功しました。開発の経緯や苦労した点、紙器のメリットについて、阿部さんにインタビューしました。
2019年にプラシーズ入社。それまでの30年間、紙器製造に携わり営業と開発業務に従事。大手化粧品会社の紙容器を数多く手がけ、貼り箱づくりの研鑽を積んだ。プラシーズでは紙器のプロデュースを担当。プラシーズにしかできない、プラスチックと紙の技術を融合した未知なるものづくりに挑戦している。
~ココに注目!~
◉可燃物として廃棄できる世界初の紙製口紅容器
◉プラスチックと紙の技術を融合
◉環境に配慮したSDGsを意識したものづくり
—-紙製の口紅容器を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
阿部:環境に配慮したものづくりがしたい。お客さまに自信を持ってご提案できるような、コンセプトカーならぬコンセプト容器を作りたいと思ったのがきっかけです。
昨今、化粧品業界においても、環境対応やSDGsを意識したものづくりが大きな課題となっています。サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる中で、老舗化粧品容器メーカーとしてプラシーズだからこそできる、環境に配慮した新しい製品の開発に日々取り組んでいます。これまでも紙製コンパクトをはじめ、紙製ブラシや紙製ストッパーなど、数多くの製品を送り出してきました。
その中でもプラスチックと紙の技術を融合させたハイブリッド式が、今回の紙製口紅容器です。
紙製の口紅容器として市場に出回っていたものは、繰出構造がなく、手動で紅を出し入れしなければならない、利便性に欠けるものでした。あるいは、外側は紙製でも繰出部がプラスチックや金属で構成され、原則として紙製とは呼べない複合素材のもの。捨てる際には分別して廃棄しなければならない、可燃物として廃棄できない製品のみでした。
こうした現状を踏まえ、本当の意味での紙製の口紅容器を作れないかと考えました。プラスチック容器と紙製容器の両方を手がける当社ならできるかもしれない。そう思って開発に着手しました。
実は、最初は紙の技術だけで作成しようと検討していたんです。月日が過ぎるだけでなかなか具体案が出ない中、営業部の荻野がふとしたアイデアを出してくれ、それをヒントに企画部の松村が具現化してくれて、実現に至りました。
—-こだわった点について教えてください。
阿部:可燃物として丸ごと廃棄できる、本当の意味で「紙製」であることです。
それを可能にしたのが「マプカ」です。「マプカ」とはプラスチック原料に微細な紙パウダーを混成させた新素材です。繰り出し部分の素材に「マプカ」を使用し、プラスチック成形機と金型を使って成形しました。
石化資源を半減できるだけではなく、マプカを使った成形品は紙製品の扱いとなるため、可燃ごみとしての廃棄が可能になります。
また、プラスチック成形品と比較して、プラスチックの使用量を大幅に削減しているので、バイオマスマーク(生物由来の資源「バイオマス」を利活用し、品質及び関連法規、基準、規格等に合致している環境商品に付与できるマーク)も付加できます。
—-制作過程で苦労した点はありますか?
阿部:やはり「繰出構造」の部分です。今回使用した「マプカ」は紙を51%含んだ材料なので、プラスチックとは違う収縮が発生します。プラスチック用の金型で成形するのは基本的に無理があるのですが、そこは、創業以来磨き続けたプラシーズの高度な成形技術でクリアすることができました。
構想から完成に至るまで180日間ほどを費やしましたね。世界初の紙製繰出式口紅容器として、特許を出願しています。
—-展示会に出品されたとのこと。周囲の反応はいかがでしたか?
2022年1月に東京ビッグサイトで開催された「第12回 化粧品開発展 【東京】 ーCOSME Tech 2022 TOKYOー」に出展しました。化粧品の研究・企画開発に必要な製品・サービスが一堂に出展する専門展です。
「紙製のリップ容器を見にきました」と、一番に当社ブースへお越しいただいたお客さまもいらっしゃいましたよ。紙と表記でき、燃えるゴミとして廃棄できる口紅容器を待っていたという声をお聞きし、ニーズの高さをあらためて実感しましたね。
—-あらためて「紙器」の良さについて教えてください。
阿部:環境に配慮したものづくりができることです。現在、世界中で環境を意識した動きが当たり前になってきています。化粧品業界でもその風潮は一番の課題となるでしょう。
当社では「できるところから環境対応」をモットーに、紙を使用した容器をご提案しています。「環境対応したいけれど、何からはじめたら良いかわからない」というお客さまに、大変喜んでいただいています。
次に、コスト面です。金型を作らなくていいので、その分、制作費用が抑えられます。
そして、デザインの自由度です。既存の金型からデザインを選ばなければならないという制約がないので、一品一様、オリジナルのデザインで作ることができます。加えて、加飾が自由にできるので、オリジナリティの高いお客さまだけのコンパクトを作ることができます。
—-プラシーズに依頼するメリットは何ですか?
阿部:一番のメリットは、容器から1個函までトータルでお任せいただけることです。
容器の形状やブランドイメージに合わせた1個函の設計が可能ですので、容器と1個函の一貫設計により、付加価値の高いご提案ができます。
このほか、窓口が一本化されることによる発注業務の効率化、納期短縮やコスト削減にもつながります。
—-プラシーズが手がける「紙器」の強みは何だと思われますか?
阿部:他社にはできない多彩な表現力です。できない箱はありません。
紙器作成に30年間携わり、大手化粧品会社の営業担当として、ありとあらゆる紙器を手がけてきました。その間に培った経験や知見をもってすれば、「できない箱はない」と自負しています。
製造ラインが中国に移行している今、国内でできることは限られてきています。膨大な種類の中から最適な紙を選ぶ眼識、複雑な形状に対応できる設計力など、他社には真似できない技術力が当社にはあります。
プラスチックと紙、その両方の技術を融合させたとき、果たしてどんな製品が生み出されるのか。まだ世界にないものづくりに挑戦するワクワク感も、プラシーズの強みかもしれません。そんな未知なるものづくりをしたいとお考えのお客さまは、ぜひ、お声がけいただきたいです。
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