CASE STUDY48
螺旋上部をアール形状に。美観を保ちながら金属パーツを排除し、コスト削減と納期短縮を実現

螺旋上部をアール形状にすることで、見た目の美しさ、コスト削減、納期短縮を同時に実現しました。この革新的な形状設計について、開発に携わった田中さんは「実は、当時の開発スタッフが渡米した際に目にした『土管』がヒントになっているんです」と語ります。
課題を解決する柔軟な発想力と、それを形にする高度な技術力は、プラシーズの大きな強みです。開発の背景や苦労話、そしてアール螺旋構造がもたらす数々のメリットについて、田中さんに詳しく伺いました。
高級感と機能性の両立を目指して
—-口紅容器のアール螺旋構造を開発した経緯を教えてください。
40年前、プラシーズの主力製品は口紅容器でした。当時、月産100万本を超える月もあり、技術開発チームでは生産性向上の課題に取り組んでいました。そこで注目したのが、金属パーツのコストと工程の問題でした。
一般的な口紅容器は、上から見ると螺旋の内側が見えてしまいます。高級ラインではこの「見栄え」の問題を解決するため、金属スリーブを螺旋に被せていましたが、金属パーツは樹脂の約1.5倍のコストがかかる上、生産工程が複雑で納期を圧迫していました。
そこで「螺旋の構造を工夫し、金属パーツを不要にしたオール樹脂製の口紅容器を作る」というプロジェクトが立ち上がったんです。
課題を解決するアール螺旋構造
—-身が見えないように、どんな工夫をしたんですか?
螺旋の上部を包み込むようなアール形状に設計しました。これにより、従来の金属パーツを使わずに「見た目の美しさ」を実現。さらに、メッキ加工を施すことで、金属のような高級感を表現することも可能です。
美観・機能性・コスト削減を同時に実現
—-アール螺旋構造にするメリットは何ですか?
アール螺旋構造には、主に3つのメリットがあります。
まず、美観の向上です。螺旋の内側が見えないため、見た目が美しく上品な仕上がりを実現します。次に、触感の改善です。アール形状が唇に優しくフィットし、心地よい使用感を提供します。
そして、コスト削減と納期短縮です。金属パーツを樹脂に置き換えることで、コストを約1/3に削減できるだけでなく、製造工程が簡略化され、生産効率が大幅に向上しました。
これにより、CO2排出量の削減にもつながり、廃棄時の分別が容易になるという環境配慮型容器としての大きな強みも備えています。
精度と強度が求められる金型作り
—-もっとも苦労したことは?
アール部分をオーバーラップさせる金型づくりでした。口紅容器はサイズが小さいため、極めて高い精度と強度が求められます。開発には3年を費やし、試行錯誤を重ねながら、ようやく納得のいくクオリティに到達しました。
発想力×技術力が生んだ革新的な構造
—-このアイデアはどのように生まれたのですか?
発想の原点は、アメリカで展示されていた土管でした。担当者がその構造をヒントに「この形状を螺旋に応用できるのでは?」と閃き、帰国後に試作を開始。そこから設計を進め、プロジェクトが加速しました。
課題を発掘し解決するパートナーとして
—-今後の展開について聞かせてください。
プラシーズでは、受注生産にとどまらず、自ら課題を見つけ出し、その解決に向けた技術開発に積極的に取り組んでいます。
アール螺旋構造はその一例であり、当社独自の発想と技術力によって開発された構造。この技術をクライアントへ提案し続けることで、受注量を着実に増やしてきました。
アール螺旋構造は、美観、機能性、そしてコスト削減を同時に実現する優れた技術で、口紅容器のみならず、繰り出し式スティックファンデーションやその他の応用が期待されています。また、環境配慮型容器としても高く評価されるこの技術を、さらに多くのクライアントに提案し、新たな課題をともに解決するパートナーであり続けたいと考えています。
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