口紅容器開発の問題と改善の歴史

口紅容器開発の問題と改善の歴史

当社は長年にわたり、口紅容器の成形に携わっています。現在当たり前になっている構造も、当社がパイオニアとして開発したものもあります。今回はその開発の歴史を、商品の抱えていた問題と解決策と共に紹介していきます。

カップダウンしない口紅容器を作ることに成功

まず初めに、口紅容器の一番のポイントは中身を出す際の繰り出しの良さです。現在では当たり前に使っている口紅ですが、昔は繰り出しの良さに重きを置くと、口紅をつけた時の圧力により中身が下に下がってしまうという問題がありました。これをカップダウンといいます。この問題のカギを握っていたのは「メカ」という内部パーツとパーツ毎の寸法でした。当時の成形技術ではパーツ毎の寸法にばらつきがあり、組み合わせても隙間ができてしまいました。少しでも隙間があると繰り出しの良さを上げることはできません。そこで当社は金型から見直し、容器全体の精度を上げ、パーツ毎の寸法を改善しました。組み合わせた時の若干の隙間をなくし、全体的にも以前より樹脂の薄い容器を作ることで、繰り出しやすく、カップダウンしない口紅容器を作ることに成功しました。当時、他社はこのような技術はなく、当社がパイオニアとして、この口紅容器を世の中に発信しました。

ラッパ型容器とアール螺旋の開発

技術が進歩し、螺旋部分も樹脂で成形できるようになった頃、繰り出しの良さをさらに改良するため、当社では中皿の下の部分に小さな溝(凹凸)を作ったバネ式の中皿と、螺旋→本体の部分をラッパの口のように少し楕円形に成形したラッパ型の身を作りました。この二つの構造により、組み立て後、身の部分だけに外側の抵抗をかけられるのでさらなる繰り出しの良さを実現させることができました。
また、当時の口紅容器の断面図は中の構造が見えてしまっていました。しかし、それでは少しチープなイメージを与えてしまうため、螺旋の断面をアールに加工した「アール螺旋」を開発しました。 (ここで言うアールとは角に丸みをつけたことを言います。)アール螺旋を開発したことで、断面の美しさが一層増し、スタイリッシュで高級感を演出することができました。。普段生活していてもこんな些細なところまでは気にしないと思いますが、当時は今までの概念を打破した斬新な開発でした。

二条螺旋を一条螺旋に改良し、中身が見やすい容器に

中身を綺麗に見せたいというご要望にお応えした事例もあります。100種類以上の色バリエーションがある口紅容器を作っていただきたいとお話があり、色が非常に多いので、中身が見やすい容器にして欲しいとご依頼をいただきました。そのために当社で開発したのは、通常は螺旋(中の溝のことを指します。)が二条のところを一条にした「一条螺旋」です。この技術は非常に難しく、試行錯誤のうえ完成させることができました。寸法や設計も同時に見直し、一条螺旋でもスムーズ繰り出せるよう工夫しました。さらにこの口紅容器の下部パーツが着脱可能になっており、レフィル対応もしています。この技術は世の中を探しても弊社しか持っていないと思います。

口紅容器をお客様と共同開発

当社ではお客様と共同で開発した画期的な商品もあります。キャップを取る手間を無くして、片手で中身を出せる「ワンタッチリップ」というものを日本メナード化粧品株式会社様と開発しました。これは横にあるボタンを親指で下に押し下げることでフタが開き、口紅が出てきます。当時は日頃忙しいキャリアウーマンや、キャップの取り外しを面倒に思う女性、キャップをなくしてしまいがちな高齢者の女性向けにこの商品を開発しました。さらに、スライド式で自分が必要な量を出すことができるため、折れやすい柔らかめの中身との相性も抜群です。
しかし、上記のワンタッチリップは、上の蓋を閉める際に自分の手でカチッと押さなくてはなりませんでした。そこで、株式会社伊勢半様との共同開発により、ボタンの操作だけで簡単に蓋を開閉することができる「スライドルージュ」を開発しました。自動的に蓋が閉まるようにするには非常に難しい技術で、以前のワンタッチリップよりさらに進化した口紅容器を作ることができました。この商品は伊勢半様と共同特許を取得しています。