CASE STUDY45
理想の繰り出し感を求めて。40年前の画期的な発想で業界を驚かせたラッパ型口紅容器の誕生秘話

プラシーズが40年前に開発した、エンドユーザー視点から生まれた革新的な「ラッパ型×螺旋構造」を取り入れた繰り出し式口紅容器。この製品はその後も多くのユーザーに支持され、プラシーズの技術力の象徴となっています。
「ラッパ型という大胆な発想もさることながら、複雑な金型設計を手計算で成し遂げた努力には脱帽しましたね」と語るのは、当時を知る開発部の田中さん。ラッパ型×螺旋構造にたどり着いた開発の経緯や、苦労したことについて話を聞きました。
繰り出しやすくカップダウンしにくい口紅容器づくり
—-繰り出し式口紅容器について、当時はどのような課題がありましたか?

繰り出し式口紅容器とは、容器の下部を回転させて、口紅を繰り出したり、繰り戻したりすることができる容器のことです。口紅を繰り出すときの操作性が容器づくりの肝で、40年前は、大きく2つの課題がありました。
1つは「カップダウン」といって、口紅を塗っているときにリップが下がってしまう現象です。もう1つは、持ち運びをしている最中にリップが上がってきてしまい、キャップの天井を汚してしまう「天つき」という現象です。
繰り出しやすさに重きを置くと、パーツ間に隙間ができて、こうしたトラブルが起きてしまう…。繰り出しやすくカップダウンしにくい、そんな口紅容器の開発が求められていました。
ラッパ型構造で理想の繰り出し感へ
—-課題をどのように解決しましたか?

メカの構造を見直し、身(本体パーツ)をラッパのような形状にしました。上部を広げることで、螺旋と組み合わせた際に外側へ圧力がかかり、パーツ同士の隙間を少なくすることができるというからくりです。


ラッパ型にした理由は定かではありませんが、おそらく、成形時に収縮する樹脂の特性にヒントを得たのではないかと…大胆な発想でしょう?
それ以前は、中皿にバネを付けて繰り出し力を高めていましたが、バネが小さいため、1週間ほどで効力が弱くなってしまったんです。その点、ラッパ型構造はバネ付き中皿より表面積が大きいので、耐久性にも優れています。

—-もっとも苦労したことは何ですか?

一番苦労したのは、本体のラッパ型の金型設計です。単純な真円ではなく、開口部をどれくらい広げるかが非常に難しく、試行錯誤の連続でした。
今でこそ3次元CADの発達で計算が容易になりましたが、当時は手計算に頼るほかなく、ラッパ型の複雑な構造設計に挑むのは大きな冒険でした。設計段階で試作を何度も重ね、理想の形状に近づけていきました。
広げたものを縮めたらどうなるか、時間が経つとどのように変化するのかなんて、まったくの未知数でしたから。完成までには約3年を要しましたね。
理想の繰り出し感を求めて挑戦は続く
—-40年前の開発秘話を振り返って、率直な感想を聞かせてください。

プラシーズでは、今回の「ラッパ型」をはじめ、「アール螺旋」や「一条螺旋」といった操作性や審美性を高めた口紅容器を自社開発してきました。現在では、口紅バルクの成形技術が進化し、カプセル充填法が登場したことで、潤滑油としてシリコンを塗布するのが主流に。シリコンの粘度がスムーズな動きと適度な重みを生み出してくれます。
とはいえ、このシリコンも万能ではなく、塗布量が多すぎると容器から染み出して、容器がシリコンだらけになってしまうんです。当社では、数ミリグラム単位で塗布量を厳密にコントロールし、位置や粘度も製品ごとに調整しています。
それでも「繰り出し感」の追求は続きます。「カップダウン」や「天つき」などの課題も残っているため、さらなる理想を目指し、今後もあらゆる方向から改善を進めていく方針です。
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