CASE STUDY29
複数色を混ぜ合わせて唯一無二の模様を生み出す!マーブルや大理石調を射出成形で実現

色や種類によって溶融温度が異なる樹脂。本来は、いかにムラなくキレイに混ぜ合わせるかが腕の見せどころですが、マーブル模様の射出成形は、逆転の発想が求められます。
専用機を使わずに、どのようにして美しいマーブル模様を生み出すか…。成形条件幅の極めて狭い超難関プロジェクト。当時の技術担当者に、苦労や工夫した点、マーブル模様成形技術を生かした新たな構想についてインタビューしました。
フタの天板を大理石調にして高級感を出したい
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?
プレステージのクリーム容器の製造依頼で、「フタの天板をアイボリー×ホワイトの大理石調にしたい」といったご要望でした。
成形品にフィルム転写や塗装して加飾する加工方法もありますが、正直、チープな印象は否めません。プレステージに相応しい高級感を醸し出すためにも、複数色の樹脂を混ぜ合わせてマーブル模様を表現する、高度な射出成形技術が求められました。
既存成形機では混ざりすぎて単色に…
—-どのような課題がありましたか?
マーブル状に成形する場合、通常は複数の加熱筒を搭載した専用機を使うのですが、当社にそのような成形機はありませんでした。かなり特殊な機械のため、20年前の当時も今も、専用機を所有しているモルダーはそう多くはないと思います。
既存の成形機を使ってトライはしてみましたが、何度やっても色が混ざりすぎて単色になってしまう…。デザイナーが求めるマーブル模様とは程遠い仕上がりでした。
成形条件を最適化するために試行錯誤
—-どのように課題を克服しましたか?
最適な成形条件をはじき出すために、加熱筒の温度やスクリューの回転速度、排圧などの成形条件を見直すことにしました。
デザイナーが求めるマーブル模様が出るように、加熱筒の温度やスクリューの回転速度、排圧などをコントロールしながら、最適な成形条件を模索。ブレーカープレートはマーブル状を確認しながら、穴の形状や厚みを調整しました。
成形条件幅が極めて狭いなか、最適化するために試行錯誤を重ねました。
品質や強度を担保しつつ、美しいマーブル模様を描き出す
—-もっとも苦労したのはどんなところでしょうか?
マーブル模様を生み出すために、溶融温度の低いほうに加熱筒の温度を合わせるのですが、あまり低くても成形が難しくなり、強度が弱くなって割れやすくなってしまいます。
また、ひと口に樹脂といっても、色や種類によって含有成分が異なります。例えば、黒い樹脂にはカーボンが含まれていたり、グレードも数種類あるので、その都度、設定条件を変える必要があるのです。
さらに、同じマーブルでも、今回のアイボリー×ホワイトは色調が似ているので、マーブル感を出すのが非常に難しかった…。
お客さまは、光の反射によってほんのり浮かび上がる、上品な仕上がりを求めていました。試行錯誤を重ねた努力の甲斐あって、狙い通りのマーブル感を描き出すことに成功し、お客さまにも満足していただくことができました。
オンリーワンの特別感と深みのある風合い
—-マーブル射出成形のメリットは何ですか?
一番の魅力は、同じ柄が存在しない唯一無二、オンリーワンであること。1点ものならではの特別感から、愛着も湧いてきますよね。
また、フィルム転写や塗装に比べて、深みのある風合いと重厚感、品を演出できるのも魅力です。
偶然生まれる色合いと模様を生かしたものづくり
—-今後の課題や展開についてお聞かせください。
2色に留まらず、複数の色や種類の異なる樹脂を混ぜ合わせ、偶然生まれる色合いと模様を生かした、プラシーズオリジナルのものづくりにもチャレンジしてみたいですね。
例えば、木片やコーヒーカス、サトウキビなど、自然界にあるエコ素材と樹脂をミックスしてみる。一つ一つの模様や風合いがより個性的な表情をつくり、面白いプロダクトができると思います。
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