CASE STUDY08
世界初!紙として販売・廃棄できる口紅容器。パーツを減らして省資源化し、さらなるエコを目指す

プラスチックと紙の技術を融合させた、世界初となる「紙製繰出口紅容器」の開発に成功しました。展示会では「まさにこんな口紅容器を待っていた!」と来場者の反応も上々。開発の経緯や苦労した点、今後の展開について、開発リーダーの阿部さんにインタビューしました。
~ココに注目!~
◉紙として販売・廃棄できる世界初の紙製口紅容器
◉プラスチックと紙の技術を融合
◉パーツを減らしてコスト削減・省資源化・省エネ化
—-紙製の口紅容器を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

環境に配慮したものづくりがしたい。お客さまに自信を持ってご提案できるような、コンセプトカーならぬコンセプト容器を作りたいと思ったのがきっかけです。
昨今、化粧品業界においても、環境対応やSDGsを意識したものづくりが大きな課題となっています。サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる中で、老舗化粧品容器メーカーとしてプラシーズだからこそできる、環境に配慮した新しい製品の開発に日々取り組んでいます。
これまでも紙製コンパクトをはじめ、紙製ブラシや紙製ストッパーなど、数多くの製品を送り出してきました。その中でもプラスチックと紙の技術を融合させたハイブリッド式が、今回の紙製口紅容器です。
—-数ある化粧品の中でも、口紅にフォーカスした理由は?
環境に配慮した口紅容器がなく、空白地帯だったからです。
例えば、メイクアップ容器では紙製コンパクト、化粧品ボトルならバイオマス樹脂や再生ペット樹脂を使ったエコ容器が市場に出回っています。
紙製を謳った口紅容器もありますが、繰出構造がなく、手動で紅を出し入れしなければならない、利便性に欠けるものでした。あるいは、外側は紙製でも繰出部がプラスチックや金属で構成され、厳密には紙製とは呼べない複合素材のもので、捨てる際には分別して廃棄しなければならない、可燃物として廃棄できない製品のみでした。
こうした現状を踏まえ、本当の意味での紙製の口紅容器を作れないかと考えたんです。
—-こだわった点について教えてください。

可燃物として丸ごと廃棄できる、本当の意味で「紙製」であることです。
それを可能にしたのが「マプカ」です。「マプカ」とはプラスチック原料に微細な紙パウダーを混成させた新素材です。繰り出し部分の素材に「マプカ」を使用し、プラスチック成形機と金型を使って成形しました。
石化資源を半減できるだけではなく、マプカを使った成形品は紙製品の扱いとなるため、可燃ごみとしての廃棄が可能になります。
また、プラスチック成形品と比較して、プラスチックの使用量を大幅に削減しているので、バイオマスマーク(生物由来の資源「バイオマス」を利活用し、品質及び関連法規、基準、規格等に合致している環境商品に付与できるマーク)も付加できます。
—-制作過程で苦労した点はありますか?

やはり「繰出構造」の部分です。今回使用した「マプカ」は紙を51%含んだ材料なので、プラスチックとは違う収縮が発生します。プラスチック用の金型で成形するのは基本的に無理があるのですが、そこは、創業以来磨き続けたプラシーズの高度な成形技術でクリアすることができました。
構想から完成に至るまで半年ほど費やしましたね。世界初の紙製繰出式口紅容器として、特許を出願しています。
—-展示会への出品やプレスリリース後、周囲の反応はいかがでしたか?

「第12回 化粧品開発展 【東京】 ーCOSME Tech 2022 TOKYOー」に出展
展示会では「紙製のリップ容器を見にきました」と、一番に当社ブースへお越しいただいたお客さまもいらっしゃいました。紙として販売でき、紙として廃棄できる「まさにこんな口紅容器を待っていました!」という声をお聞きし、ニーズの高さをあらためて実感しましたね。
また、プレスリリース後は、業界紙「週刊 包装タイムス」やさまざまなネットニュースに取り上げていただきました。国内屈指のリップクリームメーカーさまからお問い合わせをいただいたり、製品化に向けて動き出しているプロジェクトもあります。
—-今後、どのような展開を考えていますか?
現状の課題のひとつに、コスト感があります。
例えば、お問い合わせをいただいたリップクリームは低価格なため、売価とのバランスを考えると、紙製容器にかけられるコストに限界があります。
そこで、低価格帯の口紅製品のご依頼にも応えられるように、直接充填方式の容器を開発中です。さらに、パーツを減らすことで、材料の使用量や作業工程を減らし、コストダウンはもちろん、省資源化・省エネ化を推し進め、さらなるエコを目指して取り組んでいます。
ゆくゆくは、繰出容器のメリットを生かして、紅に限らず、例えば、スティックのりやクレヨンなど、化粧品の枠を超えた製品にも展開できたらと考えています。今後は柔軟な発想で、紙製の繰出容器を広めていきたいですね。
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