CASE STUDY24
合わせ目が出ない!ブロー成形機能を組み込んだ射出成形機を開発。ストレッチブローを上回る高品質を約半分のコストで実現

新製品のプレステージマスカラの容器を「樹脂一体型構造でつくりたい」というお客さま。限られた予算の中で、いかにして金属製に引けを取らない高級感と美しさを演出できるかー。課題は高品質と低コストの両立でした。
既存の射出成形機にブロー成形機能を組み込んでしまおうという無謀な試みに「プレッシャーも大きかった」と話す開発担当者。開発の経緯や苦労した点、今後の展開について話を聞きました。
~ココに注目!~
◉インブロー成形で合わせ目の出ない美しい仕上がりを実現
◉ストレッチブローの約半分にまでコスト削減
◉金型のない新製品や試作品も低コストで対応可能
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?

プレステージマスカラを新発売するにあたり、当社で開発した「樹脂一体型構造で容器をつくりたい」といったご依頼でした。
1999年当時、塗布体付きマスカラの容器の多くは金属素材でした。高級なマスカラの容器は外側を金属素材にしたりネジを別のパーツにすることがあり部品数を多く必要とするので、加工コストがかさんでしまうこと。また、接続部分の隙間から中身がじわりじわりと入り込んで、中身が固まったり外にあふれ出てしまうといった弱点がありました。
その点、樹脂一体型構造なら隙間がないのはもちろん、軸を汚さず、空気を溜めない工夫が施されています。こうした利点を気に入ってくださり、お声をかけていただきました。
当時は業界でも話題となり、受注がたくさん舞い込んできたんですよ。マスカラ容器の素材が金属から樹脂へ代替するきっかけとなった製品でもありました。
—-どのような課題がありましたか?
プレステージ商品にふさわしく「金属製と変わらない高級感を出したい」との強い要望がありました。
限られた予算の中で、いかにしてハイクオリティなものをご提案できるか。通り一辺倒なやり方では立ち行かず、既存の成形機を見直すことからスタート。知恵を絞り、技術的なひと手間を込めることで、期待以上のクオリティを出すことに注力しました。
—-課題についてどのように解決しましたか?苦労したことは?
塗布体付きのマスカラ容器の製造方法は、ブロー成形が一般的です。ブロー成形は大きく分けて、ダイレクトブロー、ストレッチブロー、インジェクションブローの3種類あります。
①ダイレクトブロー
金型が安価。ボトルの底部にあるピンチオフと言われる合わせ目がデザイン性を損ねる大きな欠点あり。
②ストレッチブロー(2軸延伸)
ダイレクトブローのような底部の合わせ目はなく、肉厚も可能でしっかりした容器の製造が可能。外観は綺麗に仕上がるが、部品数が多いので金型が高価になってしまう。ダイレクトブローの約4倍。
③インジェクションブロー(無延伸)
ストレッチブローとの相違点はプリフォームの温度安定が難しく、PETの成形ができない。そのため市場からほぼなくなってストレッチブローに入れ替わった。金型費用はストレッチブローの70%程度。外観はPET材には不向きだが、PP材はストレッチブローより良好。
それぞれにメリット・デメリットがあります。お客さまが求めるクオリティとコストを加味すると、今回のケースはインジェクションブローが最適でしたが、成形機が旧式でメーカーの製造も終わっていました。
そこで、本来ブロー機能がない射出成形機に、ブローができる金型を組み込むことを発案したんです。プラシーズとしても初の試みで、失敗が許されない緊張感からプレッシャーも大きかったですね。
—-自社開発した射出+ブロー成形機のメリットはなんですか?

高品質と低コストの両立です。側面に合わせ目が出ない、外観のクオリティはストレッチブロー以上の美しい仕上がりを実現。それでいて金型費用はストレッチブローの半分に抑えることができるんです。
成形品を金型から離型する際、ブロー成形機は金型を割って成形品を取り出すので、側面にパーティングラインがついてしまうのですが、今回開発した射出+ブロー成形機はストロークがあるので、側面にパーティングラインが出ないんです。
インジェクションブローと同等、いやそれ以上の品質を予算内で完成することができました。
—-今後の課題や展開についてお聞かせください。
今回のプレステージ商品のように、金属からプラスチックへの代替はもちろん、金型のない新製品や試作品にも低コストで対応できます。
新たな挑戦へのパートナーとして全力でサポートいたしますので、お気軽にご相談いただければと思います。
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