CASE STUDY01

家電用途のインモールド成形を応用して、 繊細かつ立体的なデザインを1工程で再現

家電用途のインモールド成形を応用して、繊細かつ立体的なデザインを1工程で再現。

目もとに特化したコスメブランドとして、まつ毛ケア美容液をはじめ、さまざまな商品を発売してきたアヴァンセさま。今や美しい目もとを演出するための必須ブランドです。
お付き合いが始まったのは、メイクブランド「アヴァンセ シピエ パレット」の容器の製造を受注した2015年から。今回のものづくりstoryは、同シリーズから生まれた新たなデザインコンセプトのパレット2種にフォーカスします。
見るからに繊細で複雑な意匠は、化粧品で一般的に用いられる加飾方法では再現が難しい…。そこで、プラシーズがひらめいた意外なアイデアとは?! 当時の開発リーダーに話を聞きました。

~ココに注目!~
◉家電製造で培ったインモールド成形を応用。
複雑なデザイン表現を1工程で加飾。
◉新しいフィルム技術の提案により、これまでにない立体的な表現を創出。
◉技術系営業担当による臨機応変な対応力と創造性豊かな課題解決力。

繊細な模様に加えて、
クラシカルな雰囲気や立体感をも表現したい

—-お客さまからどのようなご依頼がありましたか?

「アヴァンセ シピエ」とは、メイクシーンに合わせて自由に組み合わせができる、セミオーダー仕様のメイクアップコスメです。当社ではブランドを立ち上げた2015年に、パレット3種の製造を手がけました。

メイクブランド「アヴァンセシビエ」立ち上げ時のパレット3種のうち、SとMの2サイズ

メイクブランド「アヴァンセシビエ」立ち上げ時のパレット3種のうち、SとMの2サイズ

今回のご依頼は、同シリーズからワイドサイズのパレット2種を発売するにあたり、「既存の3製品とは異なるデザインコンセプトで作りたい。デザインのモチーフとなるのは、フランスで受け継がれているリモージュ磁器。優雅で繊細な絵柄、クラシカルな雰囲気を再現したい」といった内容でした。さらに、随所に金箔を施し、中央部には封蝋を押すなどして、質感や立体感を出したいとのご要望もありました。

従来の加飾方法では、工程数とコストが増大してしまう…

—-こうした要望を叶えるための課題は何でしたか?

前回の3製品に比べてはるかに複雑なデザインでした。ホットスタンプや印刷、蒔絵シールといった従来の加飾方法では工程数が増え、時間もコストもかかってしまいます。

というのは、ホットスタンプはシルバーやゴールドなど輝度の高い表現は可能ですが、1色1工程が必要です。加えて、箔に厚みがないので立体感がなく、耐摩耗性が低いという短所も。シルクスクリーン印刷は立体感を出すことはできますが、こちらも1色1工程なので、繊細なデザインほど位置合わせが難しくなります。

表面にクリアコートを塗装すれば、立体感や質感を醸し出すことはできますが、コストが跳ね上がってしまう…。お客さまの要望を叶えるための最適な方法を模索しました。

家電製品に用いるインモールド成形で、難題を一挙解決

—-どのような解決策があったのでしょうか?

そこで、ひらめいたのが「インモールド成形」です。

インモールド成形とは、あらかじめ意匠が印刷されたフィルムを金型に挟み込んで樹脂を流し込み、射出成形の熱と圧力により、成形と同時に意匠を転写する成形方法のこと。家電製品やモバイル機器などに用いられています。

成形後に加飾を施す方法よりも、意匠性の高いデザインを効率よく実現できるので、コストダウンや時間短縮にもつながります。今回のような複雑なデザインもインモールド成形をもってすれば、細かな模様はもちろんクラシカルな雰囲気や立体感に至るまで、1工程で加飾できます。

とはいえ、インモールド転写は平面フィルムを立体に絞るので、シワと位置ずれが起きやすく、熱と圧力の加減を間違えるとフィルムが破れてしまうことも…。数々の経験に裏打ちされた高度な技術が求められます。

その点、35年以上も前から家電製品の製造を行ってきた当社では、インモールド技術の経験と実績が豊富にあります。射出のスピード、圧力、温度、さらにはフィルムの挟み具合など、何万通りにも及ぶ組み合わせをトライ&エラーで繰り返しながら、最適な条件を探し出してきました。

こうした経験値のおかげで、仕様が決まってからは苦労という苦労はなく、納品まで漕ぎ着けることができました。

インモールド成形

新しいフィルム技術を駆使し、これまでにない立体感を表現

—-こちらからプラスαの提案があったと聞いています!

さらに、フィルム会社の協力を得て、新たなフィルム技術を導入しました。転写箔のトップ層を厚くして模様に段差をつけることで、プリズム効果が生まれて模様が立体に見えるという、今までにない表現を可能にしました。見え方にこだわりを持っていらっしゃったので、満足していただけたと思います。

新しいフィルム技術を駆使し、みたことのない立体感を表現

アヴァンセさまについては、「アヴァンセ シピエ パレット」の5製品のほかにも、計11アイテムの受注をいただいています。継続して受注をいただけていることが、お客さまの評価だとありがたく受け止めています。

今回のものづくりStoryでお伝えしたいのは、当社が誇るインモールド技術はもちろんですが、忘れてならないのが、営業担当の臨機応変な対応力と、創造性豊かな課題解決力です。当社では技術系の営業担当がお客さまのところへ出向き、ご要望や質問に対して即答できる営業体制を整えています。

これからも提案力とそれを形にする技術力で、お客さまの期待値を超える製品を生み出していきたいですね。