CASE STUDY14
成形が難しいPETの超音波溶着。創業以来、工夫を凝らして極めた完成度は業界トップを独走中!

プラスチックの接着工法の1つである超音波溶着。とりわけ成形が難しい「PET」を用いた超音波溶着は、プラシーズがパイオニアであり、完成度の高さはいまだライバルの追随を許しません。「PET」を用いた超音波溶着のメリット、こだわりや苦労した点について、開発者にインタビューしました。
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?

液状リップの容器をつくるにあたり、「中身の色が外から見えるように、ボトルを透明にしたい」とのご依頼がありました。
さらに、高級感のある美しい見た目にこだわり、成形方法はブローではなくインジェクションにしたいこと。シゴキゴムが外から見えないように、ボトルの肩部を不透明にしたいこと。素材は中身に脂分が多いため、密度の高い「PET」にしたいことなど、難易度の高いご要望をいただきました。
—-ブロー成形とインジェクション成形の違いについて教えてください。

ブロー成形とは、溶かした樹脂を金型に合わせてエアーで膨らませていく成形方法です。複雑なパーツの設計でも金型で対応しやすく、安価でできます。反面、細かい肉厚コントロールが難しく、内側の形状が不均一になってしまうデメリットがあります。
一方のインジェクション成形は、溶かした樹脂を高い圧力で金型に注入して、冷却固化させる成形方法です。細かい肉厚のコントロールが可能ですが、複雑な形状は金型の構造やコスト面から対応が難しいです。
一般的に液状リップの容器は、ブロー成形を用いることが多いですね。
—-お客さまの要望を叶えるために、どのような提案をしましたか?

容器の胴部を透明ネジ、肩部を不透明でインジェクション成形した後、各パーツを超音波溶着で一体化させる方法を提案しました。
インジェクション成形と超音波溶着の技術を掛け合わせることで、見た目の美しさはもちろん、密閉性や強度など機能性を兼ね備えた容器に仕上げることが可能です。
—-お客さまの要望を叶えるために、苦労した点や工夫した点について教えてください。
素材に「PET」を使っていることで、超音波溶着の難易度が格段に上がってしまうことです。
実は、超音波溶着は50年以上も前から手がけている工法で、当時は超音波溶着しやすい樹脂素材を使っていたので、それほど難しくありませんでした。
その点、「PET」は高密度で結晶性なので溶融温度の範囲が狭く、超音波で溶着するのが非常に難しいことから、成形品に使われることはほとんどありませんでした。やがて「PET」の耐薬品性や強度、機能性が見直されて、ペットボトルなど成形品にも多用されるようになり、化粧品容器においても、「PET」のニーズが高まっています。
—-超音波溶着とは?
超音波振動と圧力を加えて成型品を振動させ、摩擦熱を発生させて製品自体を溶かして接合する接着工法です。効率よく摩擦熱を発生させるために、設計段階で「音波リブ」と呼ばれる溶着形状を盛り込んでおく必要があります。
私たちが工夫した点は、この音波リブのデザイン設計です。超音波振動の熱によって尖がったリブが溶けて溶着されるのですが、「PET」の特性から溶けにくいため、溶着するための音波リブのデザインや位置に創意工夫が必要となります。
また、超音波接着機と振動を伝達するために必ず使用する「ホーン」という部品が当たって、超音波リブが溶けるのですが、このホーンが容器に当たるときに傷がついてしまうんです。それを避けるためにも独自に工夫を凝らしています。
—-プラシーズに依頼するメリットはなんですか?

当社は創業時から「PET」を用いたブローや射出成形を数多く手がけてきているので、他社より圧倒的にノウハウと知見があります。
とはいえ、最初の頃は強度が不十分で、市場クレームを受けることもありました。その都度、密閉性と強度を上げるためにトライ&エラーを繰り返し、あらゆる創意工夫を凝らして完成度を高めてきましたね。
今では自信を持っておすすめできる技法の1つです。他社ではやったことがないと思うし、やったとしてもここまでの完成度に達し得ないと思っています。
—-今後の展開についてどのように考えていますか?
今回の液状リップ容器は、各パーツの寸法設定によって強度が変化します。それゆえに製品ごとに創意工夫が必要ですが、一品一様のものづくりを得意とする当社でしたら、安心してお任せいただけると思います。
もっと径の大きなものや化粧品以外の容器など、今までにないデザインが求められたとき、自信を持ってこの技法を提案したいと思います。
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