CASE STUDY42
貼り箱の貼合位置精度±0.25mm。位置ズレと段差をなくし、エッジの効いたシャープなデザインを実現
芯材と化粧紙を手作業で貼り合わせてつくる貼り箱。各面で色が異なり、しかも角はエッジを効かせたシャープなデザインゆえに、少しの位置ズレも許されない。逃げや誤魔化しが効きません。
価格競争ではなく、仕上がりの美しさで勝ち取ったコンペ形式の案件。「私たちの技の引き出しを使えてよかった」と振り返る設計担当者に、苦労や創意工夫した点、紙器におけるプラシーズの強みについて話を聞きました。
各面で色が異なるエッジを効かせた貼り箱
—-お客さまからどのような依頼がありましたか?
ツートンカラーの貼り箱の製造依頼です。エッジを効かせたシャープなデザインが印象的ですよね。お客様からのご要望は、
- 色の位置ズレは許容できない。
- 角のエッジを効かせたい。
- へり返しの段差をなくしたい。
といった内容でした。
貼り箱とは、厚い芯材(チップボール)を用いて、表面全体に化粧紙を接着剤で上貼りしたものです。手作業の工程が多いため、高い技術が必要とされますし、芯材と化粧紙の位置合わせをする作業は至難の技です。
ところが今回の案件は、各面で色が異なるデザインで、4面とも色ズレが発生しないように貼りたいとのこと。一つ一つ手作業で貼っていくのですが、少し想像しただけでも、ズレなく貼るのは不可能に近い話だとご理解いただけますよね。
さらに難度を高めたのは、角のエッジを効かせること。多少なりとも角にアールがついていれば誤魔化しようがあるのですが、お客様の要望は、エッジを効かせつつ、ズレがないようにしたいと。おそらく他社さんなら手に負えず、断る案件だと思います。
企業秘密の印刷ノウハウと作業者の熟練技
—-どのような課題がありましたか?創意工夫した点を教えてください。
まずは「①色の位置ズレは許容できない」について、今回の製品の場合、貼り合わせの位置が少しでもズレたらデザインとして成り立ちません。つまり数ミリのズレも許されないわけです。
ただでさえ、エッジの効いた角はズレの発生が目立ちやすいので、設計段階で数ミリ逃がすのが常套手段なんですが、デザイン上、4面とも位置ズレが発生しないように貼らなければならないなんて、手作業で貼っていくのに到底無理な話なんです。
ではなぜプラシーズで実現できたのか…。それは当社独自の印刷ノウハウがあったからです。
私たちは「裏どり」と呼んでいるのですが、その方法に関しては企業秘密なのでここではお話しできません。あとは、やはり手作業で貼っていくので、作業者の熟練の技にかかってきます。
次に「②角のエッジを効かせたい」については、Vカットという特殊な技法を用いました。Vカットとは、例えば1ミリの厚紙の紙1枚だけ残すように、曲げる部分を彫刻刀で切っていきます。するとカチっと曲がるので、箱の角が非常にシャープに仕上がります。
最後に「③へり返しの段差をなくしたい」について、紙を貼り合わせる際に「へり返し」といって、必ず2枚重なり合う箇所があり、そこに段差ができます。段差ができる箇所については、あらかじめ芯材を薄くすることで、フラットに仕上げることができます。
「段差どり」といって、他社でもやっている作業ではありますが、厚さを何ミリにするか、その塩梅によって仕上がりの美しさが変わるので、そこは当社の技術が生きているかもしれません。
国内×海外によるハイブリッドな生産体制
—-プラシーズに依頼するメリットについて、競合他者にはない強みはズバリなんですか?
高い品質を担保しながら、コストを抑えられることです。
今回の製品に限らず、ものづくりの骨格となるのは「設計」です。使用するパーツや寸法、製造工程をどうするか。設計がおかしければ、すべてが狂ってしまいます。
プラシーズでは、紙箱の設計は紙箱専任チームが担当します。箱には大きく2種類あって、貼り箱とケースに分かれるのですが、私たちの強みは、その両方のノウハウと知見を持っていること。国内でもあまり例を見ない、珍しい立ち位置だと思います。
貼り箱とは、芯材に化粧紙を貼り合わせたもので、化粧品の紙箱は貼り箱がほとんどです。ケースとは、金属やプラスチックなどのフレームに革や布を貼り合わせたもので、ジュエリーボックスなどがそれにあたります。
これ、同じ箱でもつくっている会社が違うんです。餅は餅屋で、各々が見様見真似でつくったとしても、うまくいかないんですね。今回の位置合わせの手法については、貼り箱とケースの技術を融合させたもので、他社には真似できない技術だと思っています。
製造については中国工場で行っていますが、高い品質を維持するために、製造工程にも独自のこだわりがあります。
当社ではベルト作業といって、1人1工程を担当する分業方式を用いています。重要な工程は、経験豊富なスキルの高い作業者が担当。こうすることで、仕上がりのレベルが上がり、作業者による品質のバラつきも防ぐことができます。
これに対して海外のローカルメーカーの多くは、テーブル作業といって、全工程を1人で担当します。管理するほうは楽ですが、作業者によって品質が異なり、不良率も上がります。
国内と海外を合わせたハイブリッドな生産体制が、品質アップとコストダウンをダブル実現できる秘訣だと思いますね。
プラシーズの設計力を最大限に発揮できたプロジェクト
—-今回のプロジェクトを振り返って、率直な感想を聞かせてください。
実はこの案件、海外のローカルメーカーとのコンペでしたが、価格ではなく、仕上がりの美しさで勝ち取ったものでした。
単純な価格競争になってしまうと、当社の設計力を十二分に発揮することができませんが、今回のように、お客様のご要望が難しくなればなるほど、私たちが持ってる技の引き出しを使えるので、非常にやりがいのあるプロジェクトとなりました。お客様にも喜んでいただけましたね。
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