CASE STUDY53

検査時間を半分に。不良ゼロを継続する――自社開発の「シゴキゴム検査機」

検査時間を半分に。不良ゼロを継続する――自社開発の「シゴキゴム検査機」

マスカラ容器の製造工程に欠かせない「シゴキゴム」。その圧入工程では、“入れ忘れ”や“逆さ入れ”など、さまざまな不良が発生するリスクがあります。

従来の目視検査は時間がかかり、どうしても見落としが出てしまう――。そうした現場の課題を解決するために開発されたのが「シゴキゴム検査機」です。

誰が検査しても、短時間で不良を逃さない。その仕組みはどのように生まれたのか。技術開発を担当した山名さんにお話を伺いました。

“あらゆる不良を逃さない仕組み”を求めて

—-「シゴキゴム検査機」を開発した経緯について教えてください。

“あらゆる不良を逃さない仕組み”を求めて

マスカラ容器の圧入工程では、シゴキゴムの入れ忘れ、容器内での脱落、逆さに圧入、脱落後の再圧入、よれによって穴が塞がるなど、さまざまな不良が起こり得ます。従来は目視や秤で確認していましたが、どうしても時間がかかり、見落としのリスクも残っていました。

そこで、品質保証部門から「確実に不良を検知できる装置を」との要望がありました。お客さまの監査でも「この検査機があるから不良は出ない」と胸を張れる仕組みを整えたい。その思いから、誰が使っても短時間で確実に検査できる装置づくりがはじまりました。

専用治具と秤を一体化し、容器を投入するだけで判別できる仕組みを考案。試作と改良を繰り返しながら4号機まで開発し、4〜5ヶ月で実用化にこぎつけました。

検査時間を半分に短縮。不良ゼロを継続

—-具体的な成果を教えてください。

検査時間を半分に短縮。不良ゼロを継続

導入前は1容器あたり7〜8秒かかっていた検査が、2〜3秒に短縮されました。検査時間は半分になり、人によるばらつき、見落としも解消。導入以降、不良ゼロを継続しています。

装置自体もコンパクトで、10分ほどでセッティング可能。協力工場に持ち込む際も容易で、現場からは「小回りが利く」と重宝されています。

お客さまに届ける安心と信頼

—-この検査機を導入することで、お客さまにはどのようなメリットがありますか?

お客さまに届ける安心と信頼

何よりも、不良品が混入しないという安心感を持っていただけます。とくに監査の場では「この工程で不良を防げている」と説明できるため、信頼性の向上につながっています。

さらに、検査時間が短縮されたことで生産効率も高まり、安定した品質での納品を継続できるようになりました。

蒸着容器で誤判定。治具と制御の工夫で解決

—-開発の過程で苦労した点は?

とくに難しかったのは、シゴキゴムの有無や逆さ入れを寸法差で判別する部分でした。光電センサーを使うため、容器を治具に正確に固定する必要がありますが、蒸着容器では投入時に引っかかって誤判定になることが多かったのです。

また、容器がふらつくとカウンターが誤作動するなど、予想外の課題にも直面しました。

対策として治具の素材をテフロンに変更し、シーケンス回路を工夫することで安定化を実現。柔らかいゴムを判別する難しさも、治具の形状と制御方法を工夫することで克服しました。

多品種対応から誤混入防止まで。現場に即した工夫

—-工夫したポイントを教えてください。

検査機には、現場の知恵を盛り込んでいます。

ひとつは、多品種に対応できるよう専用治具を交換式にしたこと。

多品種対応から誤混入防止まで。現場に即した工夫

また、投入数、不良数、良品残数をカウントし、1箱ごとの管理ができるようにしました。

投入数・不良数・良品残数をカウント

さらに、検査後は良品のみが自動で取り出せ、不良品は責任者が解除して排出する仕組みにしたことで、誤って混入するリスクを防いでいます。

最後に、良品は青ランプとチャイム、不良は赤ランプとブザーで知らせるなど、作業者が直感的に判別できる工夫も加えました。

作業者が直感的に判別できる工夫

監査の際に実際の生産ラインで確認していただいたところ、「再発防止策として有効」と高い評価を得ることができました。

不良は想定して防ぐ。部門連携で短期間開発を実現

—-今後の展開についてお聞かせください。

ものづくりに不良はつきものですが、重要なのは発生を前提に想定し、事前に対策を講じることです。今回の開発では設計部隊とソフト部隊が連携し、営業や品管、現場と情報を共有しながら進めたことで、短期間で成果に結びつけることができました。

今後もこれまで培ったノウハウを応用し、生産や検査の課題に柔軟に対応していきたいと考えています。

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