CASE STUDY43

老舗プラスチックメーカーの新たな挑戦。バイオマスプラスチック×廃ペレットで作った環境配慮型容器

老舗プラスチックメーカーの新たな挑戦。バイオマスプラスチック×廃ペレットで作った環境配慮型容器

美しい薔薇には棘があるように、今注目のバイオマス材やプレコンシューマ材は、環境にやさしく、仕上がりも美しいエコ素材である反面、扱いが非常に難しいプラスチックです。

「とてもいい材料ですが、意匠性の高い化粧品容器に使われることはほとんどないですね」と話す開発担当者。量産化に成功するまで、約5年もの時間を費やしたその歩みを振り返り、苦労や創意工夫した点、今後の展開について話を聞きました。

老舗プラスチックメーカーとして新しい価値を提案したい

—-環境に配慮した容器開発の経緯を教えてください。

CO2削減や脱プラスチックの動きが加速するなか、プラスチックを扱うメーカーとして、環境に配慮したプラスチック容器を作り、新しい価値を提案したいー。そんな想いが今回のプロジェクトの原動力になっています。

この容器は、キャップにバイオマスプラスチック、ボトルにはプレコンシューマ材を採用し、プラシーズのオリジナルモールドで作り上げました。

バイオマスプラスチックとは、トウモロコシやサトウキビ、キャッサバなど、バイオ由来の資源を原料にしたプラスチックのこと。一方、プレコンシューマ材とは、いわゆる移行材のことで、液体原料のグレードなどの種類を変えたときにできる、変更前後の原料が混ざった中間材の廃ぺレットを指します。

老舗プラスチックメーカーとして新しい価値を提案したい

環境に配慮したプラスチック容器として、展示会などに出品しましたが、反響は大きかったものの成約には至らず…。そこで、取引先に提案したところ、リキッドファンデーションの容器として採用が決定。昨年、無事に商品化されました。

化粧品容器での使用が難しいエコ素材

—-プロジェクトを進めていくなかで、どのような課題がありましたか?

美しい薔薇には棘があるように、バイオマスプラスチックは環境にやさしく仕上がりも美しい、優れた材料であることに間違いないのですが、その反面、温度や湿度に敏感で、扱いが非常に難しいんです。

また、プレコンシューマ材は、意匠性が高い化粧品容器での使用は難しいとされてきました。一定の厚みを超えると白濁するという特性があり、今回のような肉厚ボトルの射出成形は、難度が格段に高くなります。

金型の設計や成形条件の最適解を見つけるのに約5年もの間、試行錯誤を繰り返しましたね。

金型設計と成形条件を微細に調整

—-キャップの製造について。バイオマスプラスチックならではの難しさ、工夫した点について教えてください。

金型設計と成形条件を微細に調整

バイオマスプラスチックは湿気に弱く、温度や湿度の管理がとても大事です。材料をそのまま置いておくと水分を吸い込んでしまい、成形時に雨のような線が出てしまうことがあります。また、バイオマス特有の酢酸臭があって、乾燥が不十分だと匂いが残ってしまうんです。

しかし、この素材にはメリットもあって、スキン層が通常の樹脂より厚くなるので、トップコートを塗ったような仕上がりが得られるんです。

金型の設計では、材料の流れを良くするためにゲート径を調整しました。また、成形条件に関しては、仕上がりの美しさを追求するために、金型温度や射出速度を細かく調整しています。酢酸臭もかなり抑えられました。

理想の透明感が出るまで厚みを何度も調整

—-プレコンシューマ材を使用したボトルについて、もっとも苦労した点はなんですか?

理想の透明感が出るまで厚みを何度も調整

透明でありながら肉厚なボトルを作ることが、とても難しかったですね。プレコンシューマ材は結晶性の樹脂で、結晶化が進むと白化してしまう特性があるため、まずは複数ある移行材の中から、最適な材料を選ぶことから始めました。

成形の際には白濁化を防ぐため、金型の中を急冷する工夫をしたり、理想の透明感に近づけるため、何度も厚みの調整を繰り返しました。

透明な肉厚容器の射出成形については豊富な実績があるため、そのノウハウを十分に発揮しています。

他社が手に負えないエコ素材にも対応できる技術力

—-プラシーズに依頼するメリットは何ですか?

扱いが難しいエコ素材にも対応できる技術力です。エコ素材を使いたい企業さまにとって、強力なパートナーになれると自負しています。

バイオマスプラスチックにはいくつか種類があります。バイオマス100%のものもあれば、従来の石油由来の原料と組み合わせたものもあります。実際、化粧品容器に使われているバイオマスプラスチックは、含有量が10%前後のものがほとんどです。

原料の純度が高い分だけ扱いも難しく、この難易度の高い素材を化粧品容器に使用しているのは、おそらくプラシーズだけでしょう。

エコの本質を捉えたプラシーズにしかできないものづくりを

—-今回のプロジェクトを振り返って、率直な感想を聞かせてください。

プロジェクトを進める中で、「本質的なエコとは何か?」あらためて考えさせられる場面が多かったですね。

もちろん、環境に配慮した材料を使うことには大きな意味があります。ただ現実として、とくにバイオマス材のようなエコ素材は、扱いが難しく歩留まりが悪いため、結果的に廃棄物が増えるという矛盾も少なくありません。

つい目新しいものに飛びついてしまいがちですが、「プラスチック=悪」という単純な話ではなく、「環境負荷が少ない方法を選ぶ」という視点で見れば、工場で年間100トンも捨てられている廃ペレットを再利用するような取り組みこそ、もっと注目するべきだと感じます。

プラシーズは長年プラスチックに向き合ってきた経験があります。その知識と技術を生かして、これからもエコの本質を探りながら、新しい挑戦を続けていきたいですね。

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