CASE STUDY46
手で触れられない全面印刷容器を自動で持ち上げて搬送する小型コンベアを開発。生産性向上により短納期とコスト削減を実現

製造現場で課題となった「印刷後に容器に触れられない」という問題。インクの乾燥待ちによるロスタイムを解消したのは、ある小型装置でした。
試行錯誤の末に生まれた小型製品搬送コンベア。その背景には、現場からの切実な声と粘り強い開発の努力がありました。
手動から自動化へと進化した工程が、どのように生産性を向上させたのか、開発担当の山名さんにインタビュー。挑戦の軌跡と具体的な成果をご紹介します。
インクが乾燥するまで容器に触れられない
—-どのような課題がありましたか?
開発のきっかけは約25年前にさかのぼります。
携帯電話の部品製造の案件を手がけたときのことです。10×30ミリほどの小さなパネルに、全面ブラックで印刷する仕様でした。これが非常に難しくて、試行錯誤の連続でしたね。
化粧品容器の場合、部分的な印刷がほとんどです。ボトルの側面やキャップの天面など、印刷後に手作業で取り出して次の工程に進めることができるのですが、全面印刷となるとそうはいきません。インクが乾燥するまで触れられないのがネックでした。
その頃、現場ではピンセットでつまんだり、吸盤で裏面を吸い上げたりと、あれこれ工夫して対応していました。ただ、それでもロスタイムがどうしても発生してしまい、生産効率が上がらない。製品1個ごとに数秒のロスがあるのは、やはり大きな課題でした。
そんなときに、現場から「印刷後に製品に触れず、そのまま乾燥工程に進められる装置がほしい」という声が上がったんです。その声が、今回の開発につながる第一歩でした。
小型搬送コンベアを自社開発。印刷から乾燥までを自動化
—-課題をどのように解決しましたか?


印刷された製品を持ち上げて搬送するために、丸ベルト式の超小型コンベアを開発しました。
このコンベアは、印刷後の容器を直接触れずに、次の工程へ送る仕組みを実現したものです。さらに、乾燥工程にスムーズに移行できるよう、コンベアの先にシューターを設置し、印刷から乾燥までを完全に自動化することができました。
コンパクトサイズの装置に複数の機能を網羅
—-もっとも苦労したことは何ですか?

やはり、印刷された容器を治具から取り出すのに、どうやって容器だけを持ち上げて搬送するか、その仕組みをゼロから形にするのが難しかったですね。
具体的には、まず容器を固定治具にセットしてインクを乗せます。その後、エアシリンダーで両脇のローラーを上昇させ、容器を持ち上げます。さらに、今度はローラーを回転させて容器を搬送。最後にシューターで乾燥工程に移動させます。
この一連の流れを完成させるまでには、試行錯誤を重ね、3~4ヶ月かかりました。

また、装置のサイズ制限も大きなハードルでした。縦15cm×横25cm×高さ10cmという限られた空間に、容器の上下動や回転など、複数の機能を詰め込む必要がありました。コンパクトでありながら、正確な動作を実現する緻密な設計が求められました。
ベルトの素材選びにも苦労しましたね。当初はOリングを使いましたが、リングが切れると治具全体を分解しなければならず、非効率でした。最終的には、ウレタンゴムを採用。製品に傷がつかず、滑りにくい上、耐久性にも優れていて、修繕時にも熱接着が可能で扱いやすかったんです。
印刷工程の自動化により全面印刷容器の取り出しが可能に
—-具体的にどのような成果がありましたか?
ピンセットによる手作業では、印刷面に触れてしまったり、落下してしまったりで、連続生産はできませんでした。それが自動化によって、5,000個以上の生産が可能になったんです。装置が動き出して、スムーズに作業が進む様子を見たとき、現場の作業者が本当に感動していましたね。
もちろん、お客さまにとってもメリットは大きいです。作業時間が短縮されたことで短納期に対応できるようになりましたし、省人化や生産性の向上によってコスト削減にもつながっています。
超小型製品から標準サイズまで幅広く対応
—-今後の展開について聞かせてください。

現在、容器全体を印刷する化粧品容器の製造工程では、すべてこのコンベアを使用しています。また、装置はさまざまなサイズの容器に対応しており、超小型のものから業界標準サイズまで幅広く扱えます。最近では、コンパクトケースやキャップ天面飾りパーツといった製品が主流ですね。
これからも、お客さまのニーズに合わせた製品づくりを目指し、どんなご相談にも柔軟に対応していきたいと考えています。
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