CASE STUDY56

【オール紙製コンパクト】紙の反発力を利用して閉じる。環境配慮型パッケージの新構造

【オール紙製コンパクト】紙の反発力を利用して閉じる。環境配慮型パッケージの新構造

コンパクトの蓋を確実に閉じるには、磁石やゴムひもなどの異素材部材が欠かせない——それが、これまでの紙製コンパクトの常識でした。

「100%紙でつくりたい」。その要望に応えるため、プラシーズは紙の反発力を機構に変えるという、まったく新しいアプローチに挑戦。環境配慮とコストダウンを両立しながら、紙だけで閉じるオール紙製コンパクトの開発が進んでいます。

どのようにして「紙だけで閉じる」仕組みが生まれたのか——その舞台裏を、紙器部門担当の阿部さんに聞きました。

紙だけで閉じる——挑戦は「紙100%」への要望から

—-今回のプロジェクトはどのような依頼から始まったのでしょうか?

最初にいただいたのは、「100%紙のコンパクトを作れないか」という相談でした。従来の紙製コンパクトは、見た目は紙でも、蓋を留めるための磁石やゴムバンド、樹脂パーツが内部に入っています。紙だけでは閉じる機構を成立させることが難しく、それらは必須でした。

今回はそれらの部材を一切使わない。この時点で、構造そのものを一から考え直す必要がありました。

紙の反発力を仕組みに変える——ロック機構の新発想

—-紙だけでロックする仕組みは、どのように生まれたのですか?

紙の反発力を仕組みに変えるロック機構の新発想

オール紙製コンパクトの試作モデル。蓋のロックには磁石も樹脂も使わず、紙の反発力のみで成立する独自構造。

今回の開発では、紙の特性に着目し、それをロック機構として生かす構造を採用しました。紙の反発力を蓋が自然に留まる仕組みへと転用しています。

具体的な構造は企業秘密となりますが、「紙の動きをどう設計すれば、安定して留まるのか」という点を中心に、形状と曲げ構造をミリ単位で調整し、紙だけで完結するロックを実現しました。

また、この構造は使い込むうちに紙が馴染み、閉じたときの保持感が自然と安定していくという利点もあります。

耐久性・紙目・紙厚。挙動を決めるのはミリ単位の調整

—-設計上、どんな点に注意したのでしょうか?

耐久性・紙目・紙厚。挙動を決めるのはミリ単位の調整

設計上の注意点

内部はジャバラ折りで深さを調整。型を使わず折り加工だけで、金皿とパフの高さ差に対応している。

紙製品は、紙目や紙厚、折り角度などのわずかな違いで挙動が変わります。そのため、今回の設計でも、どの方向に力が働くか、どの程度の戻りが生まれるかを綿密に検証しながら、最適なバランスを探りました。

内部構造についても詳細は控えますが、折り加工の工夫によって異なる深さを作り分けるなど、金皿やパフの寸法に合わせた調整を行っています。型を使わず、紙の特性だけで必要な高さを確保できる点も大きなポイントです。

ただし、紙だけでロック機構を構成しているため、現段階では耐久性に課題があります。数百回におよぶ開閉を前提とした製品には向かず、短期使用のアイテムや試供品用途に適した構造だと考えています。

コストの壁——黒段ボールの価格が想定以上に高い

—-現在の課題は何ですか?

材料費です。とくに黒の段ボールが高く、プラスチック製のコンパクトよりもコストが上がってしまっています。

良い仕組みでも、量産時の単価が合わなければ実用化は難しい。今は素材の見直しだけでなく、構造の簡略化や別部材の検討も含めて、あらゆる可能性を探っているところです。

“オール紙製”が拓く可能性——化粧品から文具まで

—-この構造は、ほかの製品にも応用できますか?

もちろんです。今回は化粧品コンパクトがメインですが、紙だけで閉じる仕組みは、絆創膏ケースやポストイットのケースなど、薄型紙ケース全般に応用できます。

紙器は「包む」だけの素材ではなく、構造によって「機能を持つ紙」になる。オール紙製コンパクトは、その可能性を示す象徴的な事例になりうると思います。

“オール紙製”が拓く可能性化粧品から文具まで

今回のプロジェクトでは、紙の反発力や紙目といった素材特性を、機構として再定義しました。紙だけで閉じる——一見シンプルな仕様ですが、その裏には繊細な構造設計と試作の積み重ねがあります。

プラシーズはこれからも、素材の枠を超えた発想で、環境配慮と機能性を両立した新しい紙器づくりに挑戦していきます。

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