蒸着紙とは?誰もが知っている”アレ”でした ーアルミ紙との違いもご紹介ー
こんにちは。いよいよ冬本番の寒さがやってきましたが、皆様いかがお過ごしですか?
ライトアップされた街並みや、バリエーション豊かな鍋料理に筆者はワクワクしています。
今回は、身近なものにも使われている「蒸着紙」をピックアップしてご紹介します。
意外にも誰もが知っている製品に使われていたり、長い歴史があるものなんです。
生活に役立つ情報も交えてお伝えしますので、一緒に学んでいきましょう。
蒸着紙とは?
ベースとなる紙の表面に、金属加工を施したフィルムを貼りあわせた紙のことを指します。
特殊紙の中でも蒸着紙はキラキラとした光沢感で、アイキャッチ性の高いパッケージなどに使われます。
金属のような見た目でありながら、紙であるため加工がしやすいのも特徴です。
例えば、ギフトラッピングに使われる、”あの捨てるのがもったいない紙”も蒸着紙であることが多いです。
どちらかというと一般的に耳にするのはアルミ紙だと思いますが、こちらはまた違った加工方法となっており別物です。
アルミ紙との違いについては、後ほどご紹介しますね。
蒸着とは?
光の反射を防止したり、撥水性・防汚性を高め物理的な刺激から守るための表面加工の技術を指します。
金属を気化させ、素材の表面に付着させることで薄膜を形成します。
蒸着は樹脂や紙の他に、さまざまな素材などにも適用ができ、ムラなく均一にコーティングが出来るため本来の機能に影響はありません。
この「蒸着」を施したフィルムで加工したものが蒸着紙になります。
身近なものを挙げると、ポテトチップスの裏側、自動車のヘッドライト、化粧品容器の装飾にもこの技術が使われています。
蒸着方法のご紹介
蒸着には2つの方法があります。
貼合タイプ
金属を蒸着させたPETフィルムを紙の表面に貼り付ける方法です。
表面の平滑性が高く、より印刷や二次加工に適しています。
転写タイプ
金属を蒸着させたPETフィルムを紙の表面に貼り付け、転写させて、後はフィルムをはがすという方法です。
加工品にはフィルムが付着していないため単一素材(紙)としてリサイクルが可能で、環境にやさしいといわれています。
内側がアルミ加工されている紙パックなどがこの方法です。
蒸着紙とアルミニウム紙の違い
ここまでで、なんとなくは蒸着紙についてお分かりいただけましたか?
では、蒸着紙と見た目が似ているアルミニウム紙とは一体何が違うのか。メリット・デメリットも合わせてご説明いたします。
アルミ紙とは?
ベースとなる紙の表面に、アルミ箔を薄くのばしたアルミシートを直接貼り合わせたものを指します。
製造に「蒸着」という工程をはさまないので、低コストで生産が可能です。
ただし、蒸着をせず直接はりつけたアルミ紙はひび割れが起こりやすく、表面の平滑性が低いことから印刷にもあまり向いていません。
紙でありながらも金属のような輝きを表現するのにふさわしく、チョコレートの包装紙やバターやマーガリンの包装、折り紙などに使われています。
以上のことから折り作業のある貼り箱への使用は難しく、見た目は同じで違いが分かりにくいですが、貼箱には蒸着紙を採用することが多いです。
蒸着紙のカラーバリエーション
一般的にはアルミニウム金属を使用することが多く、元々は銀色であることが多いです。
蒸着紙の上からグラビア印刷で補色することで、幅広い色彩の表現はもちろん、版の凹みの深さを調節し、インキの量をコントロールすることでグラデーションの表現にも優れています。
こういった技術により、特殊紙を扱うメーカーはさまざまな色味の蒸着紙を用意しています。
アルミ付き紙パックのリサイクルについて
飲料や酒類の入ったアルミ付き紙パックですが、ほとんどの自治体では燃えるゴミとして扱われます。
リサイクル回収拠点が充実していないのが現状ですが、アルミ付き容器の回収ネットワークは徐々に全国に広がっています。
テトラパック社のHPから、お近くの回収拠点を検索することが可能です。
リサイクルできるよう製造されているものなので、なるべくリサイクルに努めたいですね。
ーアルミ付き紙容器の回収拠点等検索ー
蒸着紙が出来るまで。
ここで歴史の時間ですが、安心してください。歴史は苦手という方でも知っておくと誰かに話したくなるかもしれません。以下ご紹介します。
蒸着技術のない時代
今は文明が発達し、人の手がなくても機械で大量生産出来る時代になりました。現代は手作業こそ珍しいものの、かつては丁寧にひとつずつものづくりが行われていました。
1920年代に発売された香水のパッケージに全面金箔貼りのものが見つかっているそうです。薄い紙に金箔を一枚づつ接着剤で貼り付けて金色の紙を作り、そこから外箱に貼り付け作業をして装飾していたという説があります。
今でも工芸品や寺院の装飾などにおこなわれる金箔貼りのイメージが近いでしょう。
大量生産には向かない
先述したことから、非常に手間と時間がかかり手作業での作成となるため、仕上がりに差が出てしまうことも。
蒸着紙が使われるようになったことで量産がしやすく、金属光沢の安定した再現が可能になりました。
蒸着紙はいつからつくられた?
実はハッキリと分かっていません。1930年頃からレンズの反射防止膜作成の用途で、蒸着技術の実用化が進み始めたとされます。1960年頃に初めて、ビール瓶のラベルにアルミ蒸着紙が採用されたそうですが、その後は各ビール会社もアルミ蒸着紙を採用しています。
今は空前のクラフトビールブームですが、パッケージ買いの決め手として、蒸着紙特有のキラキラ感に魅せられているかもしれませんね。
蒸着紙を使用した製品の一例
次に、蒸着紙を使用した製品のご紹介です。
コスメボックス
「金箔を貼った下地の上に透け感のある布をかぶせて、金地が透けてみえる」という商品コンセプトの下、蒸着紙を使用して作成したもの。
更に蒸着紙の上から白のオフセット印刷をすることで、布の織り目の細かさを表現し、より華やかな演出ができます。
紙製コンパクト
こちらはホイル紙で作成したコンパクトです。蒸着紙さながらの見た目ですが、蒸着紙で施されたものと比較すると強度は劣ります。
美容液の外箱
台座の部分に蒸着紙を使用しています。
白と光沢感のコントラストが透明感や美白などを想わせます。
おわりに…
最後まで読んでいただきありがとうございます。
蒸着紙のイロハを学んでいただけたでしょうか。
プラシーズでは、蒸着紙を使用した化粧品容器の作成はもちろん、ご相談からでも承っています。
今回読んでいただいた蒸着紙に関する内容や、弊社の取り組みにご興味やご相談などございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話よりお問い合わせください。
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