パルプモールドの容器とは?製造方法から使用例までパッケージメーカーが解説
環境に優しいパルプモールドは、食品容器や工業製品の包装、電子機器の緩衝材など、幅広い用途で使用されています。近年では、製品のパッケージに使用されることも多くなっており、注目されている技術です。
今回の記事では、そんなパルプモールドについてのメリットやデメリット、製造から活用方法までをパッケージメーカーの視点から詳しく解説いたします。
パルプモールドとは
パルプモールドとは、主に古紙などを分解したパルプ(植物繊維)の成型品や、その技術を差します。水分を含ませたパルプを金型で成形し、乾燥させることで立体的な成形ができる点が特徴です。
パルプモールド3つのメリット
パルプモールドについて、さらに具体的なメリットを3つご紹介します。
環境配慮型の材料が使用可能
パルプモールドの主な材料は、古紙や段ボールなどの木材パルプが使用されますが、そのほかにも農業残渣などが再利用される例もあります。年間排出量が1億トンにものぼるサトウキビの搾りかすを原料とした「バガス」や「竹」を使用した原料なども存在し、環境対応材としての注目を集めています。
軽量かつ頑丈な設計が可能
パルプモールドは環境に優しいだけでなく、形状を工夫することで軽量でありながら高い強度を持たせることが可能です。これにより、取り扱いが容易で、商品をしっかりと保護するパッケージを製造することができます。
形状の自由度が高い
パルプモールドは形状の自由度が高いという特長を持ちます。紙でありながら立体形状を作ることが可能で、包装デザインの表現力が格段に向上します。これにより、化粧品パッケージなどの領域で活用の可能性が広がっています。
パルプモールドのデメリット
パルプモールドには多くの優れた特性がある一方で、デメリットも存在します。ここでは、その中でも特に金型に関わる初期費用についてご説明いたします。
金型の初期費用
パルプモールドを製造する際、まず必要となるのが金型です。オリジナルの形状でパルプモールドを製造するためには、その形状に合わせた金型が必要になり、設計、材料費、加工費などのイニシャルコストがかかる点がデメリットといえます。
ただし、一度作成した金型は長く使用することができ、大量生産を見越した場合には一つの製品にかかる金型コストは相対的に小さくなります。
ですが、化粧品で使用するパルプモールドは食品容器や家電の緩衝材・梱包材等に比べて生産数は多くありません。
そこでプラシーズでは金型構造や製造方法を工夫することで、デメリットでもあるイニシャルコストを大量生産の必要なく、圧倒的な削減を実現することが出来ました。
ご興味があればお気軽にお問い合わせください。
パルプモールドの製造方法
次にパルプモールドがどのように製造されるのか、その過程をご紹介します。
金型作製
一般的にパルプモールドの金型はアルミをベースに作られています。
製品形状を機械で削ったら、全体に無数の穴を開けていきます。
穴を開けたら、製品形状に沿わせながら金型表面に金網をしっかりと張っていき完成です。
一般的な成形方法
まずは原料となる「パルプ」を作っていきます。
パルパーという洗濯機の様な機械を使用して、材料を攪拌していきます。
それを大きな水槽へと移し、金型をその中に沈めます。
金型には無数の穴が空いており、金型の裏からパルプを吸引する。
その際に金型表面に張った金網が水だけを通し、金網が原料で目詰まりを起こすことで製品の形を作ることが出来るのです。
成形が出来たところで、製品を取り出して乾燥させます。
プレス加工
乾燥後の製品は反っていたり形状が綺麗ではないので、プレス加工で形状を整えます。
プレス加工をするためには、雄型と雌型というプレス型を作る必要があり、成型方法によってそれぞれ特徴があります。
そこで、2つの成型方法をご紹介します。
乾式
その名の通り乾燥炉に入れてしっかりと乾燥をさせてからプレス加工を行い形状を矯正する方法です。プレスをしても表面がごわごわしていてツルツルにならないのが難点ですが、生産コストを抑えることが出来ます。
湿式
乾式とは違い、半乾きの状態でプレス加工を行い形状を矯正する方法です。
プレス型にも特徴があります。プレスした際に製品に残った水分を飛ばすための熱線が通っており、発生した水蒸気を逃がせるように、片方のプレス型にもパルプモールドの金型のように金網が張られています。乾式と違い金網の無い面はツルツルで滑らかになります。
プレス型の加工が必要になるので、乾式と比べるとコストはかかってしまいます。
カット・検品
プレス加工をしただけではまだ完成ではありません。
一般的なカットの方法はビク刃と呼ばれる抜型を使用して切り分けていきます。
上から押した時に刃が出てくるようにするため、カットしたい形にウレタンをベニヤ板に貼り、その間に刃を付けます。カットする際は製品自体を切ってしまわないように多少の逃げ(フランジ)を作っておくのが一般的です。
カットにも色々な方法があり、フランジを残さないために丸のこなどを用いてサイドカットする方法もあります。
仕上げ工程
最後は塗装になります。
印刷などの加飾によって、製品の見た目や手触り、商品のブランドイメージに合わせた仕上げを施します。例えば、色彩豊かな印刷を施すことで消費者の目を引くパッケージに、また耐水性や光沢感を持たせるコーティングを施すことで、製品の質感や保護機能を向上させることが可能となります。
パルプモールドが使われる場面
パルプモールドの具体的な用途とその背景について見ていきましょう。環境意識の高まりとともに、その利用範囲はますます広がっています。
緩衝材としての利用
パルプモールドはその軽さや、優れた衝撃吸収性から緩衝材として用いられることが多いです。主に、電子機器や家電、精密機器の梱包材としてよく利用されており、パルプモールドの原料は紙のため、処分にも困らないことも特徴です。
パッケージ業界で活躍
パルプモールドの紙独特の自然な風合いは、商品のブランドイメージの表現として注目されています。消費者の環境意識に応えるパッケージとして、化粧品や食品の容器などに広く使用されています。加えて、パルプモールドは形状に自由度があるため、ブランドの特性を活かした独自のデザインも可能です。
お祭りやイベントにも欠かせない存在に
お祭りの屋台や、イベントでのキッチンカーなど、路上で食品を購入する機会も増えてきました。これまでは、プラスチック製のタッパーなどが一般的に使用されておりましたが、使い捨てが主な用途になることから、パルプモールドが使用されることが増えています。資源の有効利用と環境負荷の低減が図れるという利点から、環境配慮を意識したイベントでは、パルプモールドの容器は欠かせない存在になっています。
まとめ
パルプモールドについて解説していきましたが、いかがでしたでしょうか。
食品容器や緩衝材など幅広いものにパルプモールドは使われており、形状も様々です。
プラシーズにはお客様の要望にこたえるための知識と技術があります。
こんな形状にしたい。あんな形状にしたい。などなんでもご相談ください。
パルプモールド以外にも紙製コンパクトや貼函、環境に配慮した製品の実績が御座いますので、気になる方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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