「化粧品ロス」を無くそう。~リサイクルとアップサイクル~

「化粧品ロス」を無くそう。~リサイクルとアップサイクル~

皆さんは使い終わった化粧品や、いらなくなった化粧品はどうしているでしょうか。
ごみとして捨てたり、リサイクルの回収に出したりしていると思います。
今回はそんな化粧品の回収と、リサイクルの取り組みについてご紹介していきます。

オリジナル容器のリードタイム短縮

化粧品のリサイクルが注目されるのはなぜ?

化粧品は季節によってラインナップが大きく変わる商品なので、その切り替わりのたびに売れ残りなどは多くの場合廃棄されてしまいます。
また使い終わった化粧品や、肌質との相性など様々な理由で使えなくなってしまった化粧品も同様に捨てられることが多くあります。
このようにして製造業者や販売業者、消費者から出る化粧品の年間廃棄量は2万トン以上にのぼります。
そこで、膨大な量の化粧品を廃棄するのを止めるために「化粧品ロス」という言葉が近頃ピックアップされてきています。

注目が集まる「化粧品ロス」

さて、「化粧品ロス」という言葉は、皆さんご存じでしたでしょうか?
これは、まだ食べられる食べ物が捨てられてしまう「食品ロス」のような考え方です。
「化粧品ロス」という言葉は、まだ使える化粧品の廃棄を削減するため、化粧品に関わる人たちが必要なアクションを考え、実行するきっかけになっています。

  • 製造業者:販売基準に達していない製品の発生を抑える
  • 販売業者:シーズンごとの売れ残りを減らすために過剰発注を止める
  • 消費者:使い残しによる廃棄を防ぐために自分に必要な分を購入、使用する

このように、リサイクルをする以外にも各関係者が化粧品を「捨てない」取り組みを行うことで化粧品ロスの削減に繋がります。

化粧品リサイクルの流れ

化粧品を使い終わっても、そのままではリサイクルできないため最初に分別をすることが大事です。
まず、化粧品の「容器」と化粧水やアイシャドウなど内容物である「中身」に分けます。

リサイクルの条件として、汚れていない状態が望ましいためしっかりと分別をすることが重要になってきます。

容器は再び材料としてリサイクル

洗浄を終えて、汚れていない状態の容器はプラスチックごみとして回収可能になります。
回収された後はプラスチック材料の種類ごとに集められて、それぞれが混ざらないようにしてから樹脂製品の材料である樹脂ペレットにリサイクルされます。

樹脂ペレットにする際にどんな物性を求めるかでリサイクル方法も変わってきます。
純度が高いペレットを作りたい時はケミカルリサイクル、コストを抑えてペレットを作る
場合はマテリアルリサイクルという方法をとります。

成形材料のPPペレット

出典:nature3d

こうしてリサイクルしてできた樹脂ペレットを使って、容器を成形することが可能になるため次のようなメリットが生まれます。

  • 成形する際の新たなプラスチックの購入量が軽減される
  • 容器の廃棄量が減り、化粧品ロスが軽減される

リサイクルに向かない中身

化粧品の中身はリサイクルすることが難しく、リサイクル技術が進んだ今でも捨てられることが多くあります。
リサイクルが難しくなる原因は、人の肌に合わせた油性成分が入っているためです。
さらに化粧品の中身は温度や日光などによる状態変化を起こしやすく、容器から取り出した後の保存が効きにくいため、リサイクルするまでに劣化してしまいます。

このような理由から、化粧品の中身はリサイクルが難しいとされています。

アップサイクルで中身に付加価値を

リサイクルが難しい化粧品の中身ですが、「アップサイクル」と言われる方法が注目されています。

アップサイクルとは、廃棄される化粧品を新たな製品としてグレードアップさせることです。
例として、化粧品の中身は発色が良く色の種類も豊富であることから、絵具などの画材やインクに再利用する取り組みが行われています。

口紅が出せる色のイメージ

このように化粧品の中身を原材料に戻さず作り変えて利用することが、アップサイクルの特徴になります。
アップサイクルならば中身を捨てずに使いきることができるため、化粧品ロスの対策としてリサイクルと並んで技術開発が盛んになっている分野です。

容器リサイクルの目指す目標

化粧品容器のリサイクルには目標があり、それは「水平リサイクル」の普及です。

化粧品容器のリサイクルは「カスケードリサイクル」と「水平リサイクル」の2つに分かれ、どちらかに当てはまるかでリサイクル後の用途も大きく変わってきます。

カスケードリサイクル

これはリサイクルをするごとに元の品質から低品質化するリサイクルです。
製品としての質を落としたリサイクルなので、同じ製品を作ろうとしても物性面が低下することがあります。
この場合、物性を重要としない別の製品に転換することが多くなります。
該当するリサイクル方法はマテリアルリサイクルになります。

水平リサイクル

カスケードリサイクルと違い、リサイクル後に殆ど品質低下を伴わないリサイクルです。
使用済みの容器を原料化、成形を行っても同じ容器を作ることが可能で、原料化と成形を繰り返すことができます。
水平リサイクルを実現した食品用PETボトルは使用済みのボトルを原料に戻して、新たに食品用PETボトルにリサイクルすることができ、「ボトルtoボトル」と呼ばれているそうです。
該当するリサイクル方法はケミカルリサイクルになります。

水平リサイクルは廃棄するプラスチックの量が減るため、カスケードリサイクルより環境を配慮したリサイクルになります。
ですが、ケミカルリサイクルを行う時には大量のエネルギーやコストがかかってしまうことが、普及への大きな課題となっています。

ケミカルリサイクルの将来性

今はエネルギー、コストの面で大きな課題を抱えているケミカルリサイクルですが最近、技術開発によってある成果が出てきました。

それはコストを下げたリサイクルが可能になったことです。

化粧品容器をケミカルリサイクルするには容器内に残っている中身や、印刷などの加飾部分を取り除く必要があり、コストが増える要因でした。
しかし、PET樹脂でできた容器で中身などの除去を行わずにケミカルリサイクルができる技術が開発されました。
この技術なら化粧品の分別を最低限にすることができるため、リサイクル可能な廃棄物を増やし、化粧品ロスを減らすことができます。

また、リサイクルされたPET樹脂は一度もリサイクルをしていないバージンPET樹脂と同等の品質を持つことが確認されています。

現在は持続的ではない技術とされているため、普及には至ってはいませんが化粧品のリサイクルを大きく変える技術として注目を浴びています。
他のケミカルリサイクル技術についてもエネルギー消費を抑える方法や再生が難しい樹脂のリサイクルを可能にする方法が研究されています。

まとめ

駆け足気味な紹介になってしまいましたが、以上が化粧品ロスを止めるためのリサイクルとアップサイクルについてのご紹介でした。
最後に化粧品の容器と中身についてポイントを押さえましょう。

容器

  1. 容器はリサイクルできる
  2. 原料にリサイクルし、再生材として使用可能
  3. 水平リサイクルが普及すると廃棄量が減る
  4. 中身

    1. リサイクルは殆どできない
    2. アップサイクルで新しい製品に
    3. 容器回収のためにキチンと分別、洗浄を
    4. 化粧品のリサイクルについて、少しでも理解を深めて頂けたなら幸いです。

      おわりに

      プラシーズでは再生材を使った試作を行っており、新たな再生材が生まれれば容器作りに使用できないか検討を行い、製品としての品質と環境配慮の両立を実現できるか開拓を続けています。
      再生PETなどの再生材や、環境に配慮した容器の製造にご興味を持たれた方は、お問い合わせフォーム、もしくはお電話にてお気軽にお問い合わせください。

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