プレスリリース 環境に配慮した材料を用いた規格型容器の製品化について

環境に配慮した材料を用いた規格型容器の製品化について

化粧品容器メーカーである株式会社プラシーズ(以下、プラシーズ、注1)の環境に配慮した材料を用いた規格型容器が製品化されました。該当容器は、株式会社ハーバー研究所(以下、ハーバー、注2)の1月22日より一斉リニューアルしたメイクアイテムの「薬用 タイムケア リキッドファンデーション(さっぱり)」、「薬用 タイムケア リキッドファンデーション(しっとり)」に採用されています。

環境に配慮した材料を用いた規格型容器

右:「薬用 タイムケア リキッドファンデーション(さっぱり)」、左:「薬用 タイムケア リキッドファンデーション(しっとり)」

【今回用いた環境に配慮した材料】

キャップには「NeCycle(注3)」、ボトルには「移行材」を使用し加飾としてキャップとボトル共に塗装を施していますが、その塗料もバイオ塗料を使用し全面に環境を意識した化粧品容器となっています。

〈NeCycleとは〉

使用した「NeCycle」という材料は、日本電気株式会社(注4)が研究・開発する、木材や稲わらといった非可食用の植物由来のセルロースより作られたプラスチックで、約50%のバイオマス率と高い配合率です。
伝統工芸品のような美観や装飾性を具現化でき、さらに製造から廃棄までに排出するCO₂を、同等の特性を持つ通常プラスチックのABS(注5)と比べても、約40%削減できる高機能バイオ素材です。

〈移行材とは〉

移行材は樹脂材料メーカーの工場で年間100tもの廃棄される規格外材料からできています。従来は廃棄物になるものを利用する為、色調や物性・衛生面等何かしらに不安を持つことがありますが移行材は製造工程が通常のバージン材料(注6)と同等の上、材料メーカーが色調も物性も管理しより安心・安全に使用することが可能になります。また物性表、参考成形条件、SDS(注7)及びPL証明が発行できポリオレフィン等衛生協議会ポジティブリストに適合します。

【開発から製品化までのプロセス】

「NeCycle」を使用した成形というのは過去展示会用のサンプルなど、少数での成形実績はありましたが、本生産での成形というのはプラシーズとして初の試みでした。
しかし、プラシーズでは、NECプラットフォームズと協力し、幾度となく試作を重ねていたので「NeCycle」の特徴をより理解しており、本生産での成形を可能にしました。
また、「移行材」を使用したインジェクション成形(注8)でクリーム容器は製品化していましたが、今回ブロー成形(注9)では第一弾となるボトル容器に採用されました。

【プラシーズの取り組み】

多くの環境に配慮した材料の特徴には、試作では成形できていたとしても、量産では試作のように成形できないことがあります。今回も少なからず、量産時に苦労した点がありました。

〈キャップについて〉

バイオマス材料特有の材料硬度を考慮し、金型や成形条件を調整しました。金型では、金型作製時からゲート径やガス抜きを通常材料の金型に比べ工夫し、材料の流れを良くしてガスが溜まらないようにしました。成形条件では金型温度や材料の射出速度を何度も微調整し、外観を綺麗にしました。また、加飾として用いた塗装も環境を考慮して、バイオ塗料の選定を行いました。

〈ボトルについて〉

「移行材」にはある一定の厚みを超えると白濁するという特徴があります。今回設計したボトル容器は厚みがあったので、複数ある「移行材」の中から選定することからはじまりました。そして、厚みの調整を重ねることで、透明性についてハーバーにも納得をいただくことができました。

容器の比較

右:透明容器、左:白濁した容器

【今後の展開】

プラシーズは、こうした新しい技術の開発に取り組む部門があり、より良い製品を目指しています。
今回紹介した環境に配慮した材料だけでなく、現在多種多様な環境対応材料が出てきています。
要望に応じて成形試作を行いますので、気軽にお問い合わせ下さい。

(注1) 株式会社プラシーズ(本社:東京都台東区、代表取締役:藤田功一)
●株式会社プラシーズの公式サイトはこちら:https://pluseeds.co.jp/
(注2) 株式会社ハーバー研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長:小柳典子)
●株式会社ハーバー研究所の公式サイトはこちら:https://www.haba.com/company/
(注3) NeCycleは日本電気株式会社の商標または登録商標です。
(注4) 日本電気株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之)
●日本電気株式会社の公式サイトはこちら:https://jpn.nec.com/index.html
(注5) アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)という3種類のモノマーから構成される共重合合成樹脂です。
(注6) 新品の素材だけを使って製造した材料のことです。
(注7) 安全データシート(Safety Data Sheet)の略語です。
(注8) 原料を熱で溶かして流動性を持たせ金型内に高圧で射出し、冷却・固化することによって成形する方法です。
(注9) 溶融した樹脂の内側から空気を吹き込み、樹脂を膨らませることで製品を成形する方法です。

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