箔押しで化粧品容器に輝きを!~金属光沢からホログラムの表現まで~
皆さんは、化粧品容器についているロゴや柄・模様の中で、金属のようにピカピカと輝いている物を見たことはありますか?これは、「箔押し」という加飾方法によってつくられています。
今回の記事では、そんな箔押し加工の具体的な工程をご紹介します。また、箔押し加工の一種で、レインボーカラーの輝きが特徴的なホログラム箔加工についてもご紹介しますので、是非最後までご覧ください!
箔押しとは
容器に加飾をする方法として、皆さんが良く思い浮かべるのは印刷だと思います。印刷の最大の特徴は、インクの色によって様々な色調の表現をすることが可能な点です。
しかし、細かい金属の粉を混ぜて金・銀色を表現したインクはありますが、金属粉以外にインクの材料を混ぜ合わせていることや、下地となる容器の生地色の影響を受けてしまうことから、印刷で金属特有の光沢を表現することはとても難しくなってきます。
一方で箔押し加工は、金属を薄いシート状にした箔を刻印で容器に押し付け、熱と圧力をかけることで容器に貼り付けます。インクのような混ぜ物がなく、金属をそのまま容器に貼り付けているイメージに近いため、印刷では難しい金属特有のメタリックな光沢感を表現することができます。また、色付きの箔や、ホログラム加工がされた箔で箔押しすることで、より個性的な製品に仕上げることが可能です。
箔押し加工の方法
次に、箔押し加工はどのように行うのかについてご説明します!箔押し工程には下記の「アップダウン式」と「ロール式」の2つの方法があります。
アップダウン式
こちらは箔押し加工で最もオーソドックスな方法です。
まず、ハンコのように凸形状に加工した「刻印」と、箔押しする「製品」の間に「箔」を挟みこみます。次に、加熱した「刻印」を文字通りアップダウンさせることで、製品に箔が接着され、箔押しが完了する方法です。
このアップダウン式では、容器を治具で固定して動かさないため、ロゴなどのワンポイントでの箔押しや、平面への箔押しに向いています。
ロール式(転がしスタンプ)
箔押しする「製品」を回転移動させながら、「箔」と一緒に「刻印」に押し当てることで、円周上にスタンプする方法です。
こちらのロール式(転がしスタンプ)は、マスカラ容器のような円柱状の容器にぐるっと一周箔押しをする場合に適しています。
箔の構造
箔押し工程で使用される箔は、「熱転写箔」と呼ばれるものの一種です。箔の付いたフィルムに熱と圧力をかけることで、フィルムシートから蒸着層が剥がれ、容器の表面に接着し転写される、という仕組みです。この箔の構造を図解すると下図のようになります。
・フィルム層
箔を作る上の土台・台紙部分にあたり、PPやPETを使用したフィルムシートを指します。転写をした後はこのフィルム層が剥がれます。
・剥離層
フィルムから蒸着層を剥がしやすくするための層です。
・蒸着層
この層が、箔押しの表面になる層で、「蒸着」という加工方法で作成します。溶解させた金属(アルミニウム)を真空空間上で蒸発させ、細かい粒子状にしたものを蓄積すると薄い金属の膜が形成されます。通常は銀色ですが、金属の種類を変えたり、蒸着層の上にベタ印刷で色を載せる「印刷層」を加えることで、ゴールド等様々な色調の金属表現が可能になります。
・接着層
フィルムから離れた蒸着層を容器に接着させるためのシール部分にあたる層です。通常は溶剤を塗布していますが、接着する容器の材質に合わせて、より接着しやすい材料を使い分けています。
ホログラム箔を使用した箔押し加工
化粧品容器に箔押し加工する際には、ここまでで解説した通常の箔とは別に「ホログラム加工」をした箔を使用することもあります。箔押し面が見る角度によってキラキラと色がカラフルに変化する様は、宝石みたいでとても綺麗ですよね。
ここからは、そんなホログラム箔を使用した箔押し加工についてご紹介いたします。
ホログラムが七色にかがやくのはなぜ?
ホログラムが虹色に輝くのは、「構造色」と呼ばれるものが深く関わっています。
物質は通常、赤や青といった色素を持つことでそれぞれの固有色を発していますが、構造色は色素とは違い、光の原理によって発色して見える現象です。そのため、見る角度によって色が変わり七色に見えるのです。
ホログラム箔はこの構造色を利用して作られており、構造色を引き起こす為の微細構造は実は皆さんの身の回りや自然界にも沢山存在します。虹やシャボン玉、鳥や蝶の羽の色等…皆さんも是非探してみてください。
ホログラムを箔押し加工で表現するには
実は、ホログラム箔に使用している箔のベースは、通常の箔押し用の物とあまり変わりません。違いとしては、蒸着層の表面に特殊なレーザーで目に見えないようなレベルの非常に細かいエンボス加工(凹凸を付ける加工)をしていることです。細かい凹凸を付けることで光の屈折や反射を発生させ、構造色の虹色の輝きを表現しています。
このホログラムのレーザー加工ですが、同一表面上に複数の図や柄を加工することも可能です。その場合は、見る角度を変えると文字やイラストが浮き出て見えるようになり、これを応用しているのが紙幣やクレジットカード類です。非常に複雑なホログラムのレーザー加工は、第三者による模倣が難しいため偽造防止用の技術としても採用されています。
そんなホログラム箔ですが、接着の難易度が高いという欠点もあります。蒸着層に凹凸の加工をしているため、通常の箔に比べて隣り合う剥離層が厚めになり、箔押しする面によっては上手く接着出来ずに剥がれてしまうことが多いのです。
この箔の剥がれを防ぐ為にプラシーズでは、箔押しする製品ごとの条件出しを細かく調整する技術を持っています。長年のノウハウを活かした微調整により、ホログラム箔も通常の箔と変わらないクオリティーで箔押し加工することが可能です。
プラシーズ独自の箔押し加工の工夫
金属やラメの輝きの表現が可能な箔押し加工ですが、加工の際には気を付けるべきポイントが沢山あります。刻印を押す時間やスピード・角度、箔押しする容器の形状・材質…。これらの条件が少しでも崩れてしまうと、箔にしわが寄ってしまったり、箔押しをした後に欠けや潰れが出来てしまい、綺麗な仕上がりになりません。
また、化粧品容器はデザイン性も重視されるため、特殊な形状の容器での箔押し加工も数多くあります。
例えば、底が広がった円錐状の容器に文字の箔押しをする場合、容器をそのまま回転させてしまうと、回転に合わせて文字が斜め方向に箔押しされてしまいます。また、刻印と容器の面が平行にあたっていないと圧力が均等にかからず、綺麗に箔押しすることができません。
そこで、プラシーズでは容器の形状に合わせた扇形の治具を作成し、弧を描くように容器を移動させることで、まっすぐ均等な圧力で箔押し加工をできるように工夫し、この課題をクリアしました。
このように、プラシーズではそれぞれの化粧品容器の特徴に合わせて、より良い箔押しなどの加飾ができるよう、課題解決への取り組みを続けています。
プラシーズ社内にあるショールームには、実際に販売実績のある箔押し加工を使用した製品を多数展示しております。見学も可能ですので、化粧品容器の加飾にお悩みのお客様はこの機会に是非ご相談下さい!
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回の記事が、箔押し加工についてより理解度を深めるきっかけになれれば幸いです。
ご不明点や資料のご請求等のご要望がございましたら、HPのお問い合わせフォームまたはお電話より、お気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします!
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