展示会で話題!紙器開発のウラ側に迫る

展示会で話題!紙器開発のウラ側に迫る

盛況の中終了した昨年度の展示会。近年急激に高まった環境対応へのニーズにこたえるべく、当社の紙器展示コーナーも連日沢山のお客様で賑わいを見せました。

展示会で特に注目を集めたのが、当社の開発品として展示した『紙製繰出式口紅容器』と『パルプモールド製ギフトボックス』です。
こちらの2製品は、そもそもなぜ開発に至ったのでしょうか?展示されるまでの開発のいきさつに迫りましょう。

オリジナル容器のリードタイム短縮

環境配慮と実用性の両立!展示会で注目のパルプモールド製ギフトボックス

環境配慮と実用性を兼ねた斬新なパルプモールド製ギフトボックス

大切な人に思いを伝えるために、無くてはならないギフトボックス。そんなギフトボックスの脱プラスチックと省資源化を目指し、当社が注目したのは、紙素材を使用した成形品のパルプモールドでした。材料には廃材を再利用したバガスを使用。弊社の強みである自社内での高い設計力を活かして、環境配慮と実用性を兼ねた斬新なパルプモールド製ギフトボックスが誕生しました。

「展示会をきっかけにしたい」より環境に優しい函作りとは

皆さんは、ギフトボックスと聞くとどんな物を思い浮かべますか?多くの人が、厚い台紙に色や柄の付いた紙を貼り付け組み立てる「貼函」を思い浮かべるのではないでしょうか。加えて、商品を収める為にセットする「中枠」や贈答用の装飾として付ける「のし紙」を併せると、ギフトボックスは大まかに3つのパーツから構成されていると言えます。

当社では、ギフトボックスを構成するパーツ数を削減する事で、より環境配慮に特化したギフトボックスをつくれないかと検討を進めていました。実現する為には、材料をプラスチック製から紙製へ置き換えることで、プラスチックの使用量を抑える『脱プラスチック』と、通常は廃棄されてしまう原料を再利用することにより、資材の使用量を減らす『省資源化』の2つの側面からのアプローチが必要です。しかし、ギフトボックスはただ容器を入れるだけでなく、美しさや高級感の演出といった美粧性も求められます。つまり、環境配慮と美粧性を両立することが求められるのです。

この課題を解決することができる材料として、当社が注目したのがパルプモールドです。パルプモールドは、紙の繊維を水でドロドロに溶かしたパルプと呼ばれるものを、金網で抄いて乾燥させた紙成形品です。このパルプモールドですが、化粧品業界ではまだまだ馴染みの薄い未知の資材。ならば、パルプモールドを使用したギフトボックスを実際に展示会で発表することで、皆様に知ってもらえるきっかけづくりをしたい。そう考えた私たちは、展示会に向けてパルプモールドを使用したギフトボックスの開発をはじめました。

ギフトボックスなのに外箱がない?!展示会で目を惹く独特な形状のヒミツ

商品を箱に収めるための中枠。一般的には、板状のプラスチックを金型にセットして熱プレスし、成形する真空成形で作ったパーツが使用されます。当社ではこれを紙原料のパルプモールドに置き換えることで、プラスチック使用量の削減を目指しました。また、パルプモールドに使用する原料には、サトウキビを絞った後に残る繊維を原料とする、新素材の『バガス』を採用。バガスは元々廃棄される予定だった材料を再利用して作られるため、省資源化にも繋がります。

こうして、中枠を紙製のパルプモールドに置き換えることはできましたが、中枠は通常外箱の中に隠れてしまうため、あまり目立つパーツではありません。そこで、中枠をあえてギフトボックスのメインパーツとして活用し、外箱をなくすことで、展示会で展示した際に目新しさを感じることのできるような製品にしたいと考えました。

+αの工程で、美しい表面仕上がりに

+αの工程で、美しい表面仕上がりに

まずはパルプモールドの成形方法について触れましょう。パルプモールドは通常、型に薄く広げたパルプを乾燥させて、水分を飛ばすことで成形します。しかし、この方法だと表面の凹凸は均一にならない為、ざらざらした表面になってしまい見た目は美しくなりません。この課題に対して当社では、通常の成形工程後に金型でプレスし、熱を加える工程を追加しました。この工程によって表面の凹凸がなくなり、美しく滑らかな面に仕上げる事が可能です。

外箱がいらない形状の秘密は『M字型』

外箱がいらない形状の秘密は『M字型』

外箱を使わずにギフトボックスを作る事のもう一つの問題点は、抑えが効かず、せっかく中に入れた商品が箱の中で動いてしまうことでした。通常の箱と異なり、左右の壁になる部分(フラップといいます)が無いため、左右から商品が飛び出てしまうのです。そこで、パルプモールドの形状を、左右に盛り上がりのついたM字型にしました。こうすることで、中に入れた容器が飛びださないようにガードすることが可能です。加えて、蓋として枠に巻きつける紙カバーが、常に正位置に来るように位置決めをすることができます。また、外箱がいらなくなったことで、メール便での使用を想定した薄型の形状にすることができます。

気になる展示会での反応:パルプモールド製ギフトボックス

完成したギフトボックスを、早速展示会にてお披露目し、環境配慮に興味をもつお客様から多くのお問い合わせを頂きました。パルプモールド表面の凹凸のない仕上がりから、中には紙からできていると気づかないお客様も…。はじめてパルプモールドのことを知ったというお客様も少なくなく、パルプモールドの化粧品容器での導入のきっかけとなる製品にできたと、手ごたえを感じることができました。

プラシーズだからこそ実現!展示会の目玉製品・紙製繰出式口紅容器

展示会の目玉製品・紙製繰出式口紅容器

展示会でのお客様のご要望を元に、機能性と環境配慮を両立させた紙製口紅容器を実現したい。紙製容器と樹脂製容器のどちらも手掛けてきた、プラシーズを象徴するような容器として形になったのが、紙製繰出式口紅容器です。

展示会でのお客様の声から見えた「紙製」を求める声とは

開発のきっかけは2年前の展示会まで遡ります。

当時から、当社で紙製容器と樹脂製容器のどちらも取り扱いが可能という話を聞きつけたお客様から、「口紅容器を紙製でできないか?」といった要望を多数頂いていました。なぜ紙製の口紅容器を求めているのか?お客様にヒアリングをしたところ、問題を抱える紙製口紅容器の現状がみえてきました。

紙管に別材質の繰出し部を組み合わせた口紅容器

今現在、「紙を使用した口紅容器」で主流となる製品は、外身は紙製の筒、紅を繰出すメカ部分はプラスチックや金属で作成したものです。繰出し部分は従来の口紅容器と同じ構造なので、いつもの口紅と同じ使用感で使うことができます。しかし、材質表記は【紙+プラ】となるため、純粋な紙製とは言えず、繰出し部分の脱プラスチック化はあきらめなければなりませんでした。加えて、消費者は紙製の口紅として購入しても、使用後廃棄する際には外容器と繰出し部分を分別する必要があります。これって結構な手間になりますよね。

底部押し出し式の紙製口紅容器

一方で、100%紙からつくられた口紅容器も、既に市場には出ていました。

100%紙で作られているため、もちろん脱プラスチックの面ではかなり環境に優しいといえます。しかし、このタイプの口紅の使用方法は容器の底をところてんのように押し出して使用するというもの。唇に塗る際は中身が押し戻されないように、底部を指で抑え続ける必要が有ります。また、使用後は塗布部分を直接押して戻す必要がある為、あまり衛生的とは言えません。このように、底部押し出し式の紙製口紅容器は、従来の口紅容器とは使用感が大きく異なり、機能性では劣ってしまいます。

つまり、今までの紙製口紅容器を採用する際は、環境配慮と機能性のどちらかをあきらめる必要がありました。なんとかプラスチック使用量削減と従来の口紅容器に近い機能性を両立した、「本当の紙製口紅容器」をまずは展示会の開発品として実現できないか?そう考えた当社の、紙製繰出式口紅容器の実現に向けた挑戦が始まりました。

紙製容器で繰出しができるようになるまで

はじめ、紙のみを使用して繰り出し部分の作成をできないか試みましたが、耐用性という壁に直面します。従来の繰出し機構に近い形状を作ることはできましたが、複数回使用すると、ネジ部分がへ垂れてしまい、最終的には変形してしまうのです。このネジの変形を防ぐ為、繰出し部の材料として採用したのが、新素材のマプカです。

マプカとは、プラスチック樹脂に微細な紙パウダーを混ぜ合わせた新しい材料です。このマプカを材料として、プラスチック成形機と金型で繰出し部分を作成しました。マプカを使用することで、通常の樹脂よりもプラスチック使用量を抑えつつ、従来の口紅容器と変わらない使用感を実現することができました。また、マプカは廃棄時の燃焼カロリー(物質が空気中で燃焼する際のエネルギー量)を紙と同程度まで抑えることができます。当然、プラスチック成形品よりも、廃棄時のエネルギー消費量を大幅に削減することができます。
加えて、マプカを使用した成形品は、紙製表記が可能です。可燃物としての廃棄も可能なので、ご家庭で外容器と繰り出し部分を分別する必要が無く、使用後に捨てるのも簡単です。

展示を実現させた、プラシーズの技術ノウハウ

展示を実現させた、プラシーズの技術ノウハウ

実は、紙製の外容器と繰り出し機構を組みあわせた口紅容器は、容器メーカーからすれば実現が難しく手を出せていない領域でした。なぜなら、紙器メーカーはプラスチック成形のノウハウが、プラスチック容器メーカーは紙器づくりのノウハウが少ないため、自社内の一貫生産が非常に難しいからです。なので、通常は外の紙器部分を紙器メーカーが製造し、繰出部分は樹脂容器メーカーが成形したものを仕入れて組み立てます。紙器部分と繰出部分で設計が別になるので、いざ組み立てる際に篏合部分の調節や仕入スケジュールの調整を要します。よって、作成までのリードタイムもかかってしまいます。
 しかし、当社では紙とプラスチック、どちらの容器の設計も一貫しておこなうことができます。そのため、各パーツの嵌合や違和感のない操作性を細かく調整することが可能でした。また、マプカは通常のプラスチックと収縮率が異なる材料の為、金型で成形する事は非常に難易度が高いのですが、これまでプラシーズが築き上げた成形技術によって、見事成形を実現させることができました。

気になる展示会での反応:紙製繰出式口紅容器

こうして出来上がった紙製繰出式口紅容器。紙製と謳えて、かつ紙製として捨てられる画期的な容器として、展示会では非常に多くの注目を集めました。また、展示会の前に発信したプレスリリースを見て、「これを目当てに見に来ました!」と声をかけて下さるお客様もいらっしゃいました。また、紙製であることに加えて繰出し構造であることから、化粧品以外の製品を取り扱うお客様からもお問い合わせをいただき、改めて紙製かつ繰出し式の容器に対する需要の高さを感じることができました。

いかがでしたでしょうか?プラシーズでは、これまでに培ってきた製造ノウハウを活かして、環境配慮に配慮した製品や新しい構造の製品づくりにも積極的に取り組んでまいります。今回ご紹介した製品に関してもっと詳しく知りたい・こんな製品を作ることはできないか等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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