化粧品にもユニバーサルデザイン!誰もが使いやすい容器をつくる
今回の記事ではユニバーサルデザインの基本的な考え方や、ユニバーサルデザインを取り入れた化粧品容器についてご紹介いたします。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは、1985年にアメリカのロナルド・メイスを中心としたグループによって提唱された概念のことです。
7つの原則を基本的な考え方として、文化・言語・国籍・年齢・性別・能力などの違いに関わらず、出来るだけ多くの人々が利用できることを目指した建築・設備・製品・情報などの設計(デザイン)がユニバーサルデザインと呼ばれます。
ユニバーサルデザイン7原則
1.公平であること
誰もが利用できるデザインになっており、利用者が特別扱いをされていると感じずに利用できる設計をすること。例えば車いすも使用できるエレベーターは誰でも利用できますが、利用者は特別扱いされているとは感じません。
2.柔軟性があること
利用者の特性やそれぞれの能力にあった形で利用できるように柔軟な設計であること。
例えば階段の両側に手すりをつければ、昇る人も降りる人も手すりを使うことが出来ます。
3.単純であること
理解するための特別な知識が不要で、直感的に使い方が分かるような設計であること。
例えば、シャンプーとリンスの容器には突起がつけられています。視覚障がいの方はもちろんのこと、それ以外の人でも目を瞑りながら簡単に区別できるようにデザインされています。
4.明確であること
利用者にとって必要な情報が簡単に伝わること。
例えばピクトグラムでの案内表示は特別な説明がなくとも効果的に情報を伝えることが出来ます。
5.危険がないこと
意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。
例えば、電気湯沸かしポットの電源コードは簡単に外れるようにマグネットでついています。これはコードにひっかかってお湯をこぼして火傷することを防止する目的があります。
6.身体への負担が少ないこと
自然な姿勢で、少ない力で楽に使えることを指します。
例えば、自動販売機では通常のボタンの他に、こどもや車いすの人も利用しやすいように低い位置にボタンが配置されていたりします。
7.十分なスペースがあること
どんな体格や、姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。
例えば、駅にはベビーカーを押している人や車いすの人、大きい荷物を持った人などが通りやすいように通路幅の広い改札機があります。
バリアフリーとユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインと似た言葉で、バリアフリーという言葉が存在します。
どちらもよく耳にする言葉ですが、両者の違いを明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。
広い意味でバリアフリーはユニバーサルデザインに含まれていると言えます。
ユニバーサルデザインは上述の通り、文化・言語・国籍・年齢・性別・能力などの違いに関わらず、出来るだけ多くの人々が利用できることを目指したデザインのことです。
一方、バリアフリーは障がい者や高齢者が利用しやすいように「障壁を除去する」という考え方です。
具体的な例を挙げると、点字ブロックはバリアフリーです。
点字ブロックは視覚障がい者の安全で快適な移動をサポートするために設置されていますが、足腰の弱い人や車いすの人にとっては躓いたり、タイヤが溝にハマったりなどの危険性もあります。
簡単にまとめると、障害を取り除くという考え方がバリアフリー、全ての人が対象となっているデザインがユニバーサルデザインとなります。
化粧品容器でのユニバーサルデザイン
近年では国内外問わず、多様性を尊重する動きが活発になってきています。
海外では、障がいの有無や年齢に関係なく、誰もが使いやすいように設計されたユニバーサルデザインの製品が増えています。
化粧品も例外ではなく、海外では「インクルーシブビューティー」という言葉と共にユニバーサルデザインの製品が数多く登場しています。
日本の大手化粧品メーカーでも、ユニバーサルデザインを取り入れた製品が多く販売されており、今後さらなる市場の拡大が予想されています。
インクルーシブビューティーとは
海外で話題となっている「インクルーシブビューティー」とはなんでしょう。
まず「インクルーシブ」とは、英語の「inclusion(インクルージョン)」という言葉が基になっており、「平等」や「一緒に」という意味を持っています。
「ビューティー」は「beauty(美、美しさ)といった美容関係ではよく使われる言葉です。
この二つの言葉を合わせた言葉としてインクルーシブビューティーという概念が生まれ、「誰もが平等で自由にメイクを楽しむ」という意味で使われています。
ユニバーサルデザインな口紅容器の進化の過程
創業90年のプラシーズではユニバーサルデザインという言葉が世の中に広く知れ渡るよりもずっと前から、誰にでも使いやすい化粧品容器の開発に取り組んできました。
中でも、片手で繰り出しから蓋閉めまで完結する口紅容器は、障がいを抱える方だけでなく「日常で片手が塞がっていても使用できる」など大好評の製品で、まさにユニバーサルデザインの代表的な製品となっています。
ここからは、そんな口紅容器の進化の過程をご紹介いたします。
40年前からユニバーサルデザインを意識した「ポップアップリップ」
蓋開けから繰り出し、蓋閉めまでの一連の操作をワンハンドで完結できる製品で、40年以上も前に開発されました。
40年前というと、丁度ユニバーサルデザインの概念が生まれたばかりの時期であり、当時の化粧品容器としては最先端な設計思想でした。
片手で操作できるので、障がいを取り除くだけでなく誰でも簡単に使用することが出来るユニバーサルデザインを施した化粧品容器です。
累計1000万本の売上で化粧品業界に激震「ワンタッチリップ」
ワンタッチリップは、片手で蓋開けから紅の繰り出しまでできるリップスティックです。
口紅と言えば繰り出し容器が主流だった20年以上前に、お客様から「今までにない個性的な口紅を発売したい」というご相談から開発されました。
ポップアップリップでスライド式の口紅容器を製造していた当社だからこそ、実現できた製品です。
ワンタッチリップは口紅容器の歴史の一角を担う画期的な製品と言っても過言ではなく、「ワンタッチリップと言えばプラシーズ」と言われるほど、化粧品業界で有名になりました。
これまでに累計1,000万本も売り上げている大ヒット製品です。
見た目も機能も洗練された「スライドルージュ」
スライドルージュは、ワンタッチリップを更に進化させたリップスティックです。
ワンタッチリップはワンアクションで蓋開けから紅の繰り出しまで出来ることが魅力的ですが、蓋を閉めるという動作は一度にはできず、使い終わった後に指で蓋を閉める動作が必要でした。
そんな時にお客様から「ワンタッチリップの形状を変えてオリジナル性を出したい」という要望があり、ワンアクションで蓋閉めまで出来る構造を開発する案件に挑戦しました。
これまでにない構造を開発するため、製品化するまでに通常の化粧品容器開発の3~4倍の時間を費やした製品です。
構造のヒントになったのは、ハンコ付きスライド式ネームペンです。製品を解体して構造を見て、蓋と紅の繰り出し操作をする部分を一体にすることで、蓋開けから蓋閉めまでを一度にできることがわかりました。
そこからはスリム化・軽量化を追求し、小さい設計でキャップと繰り出し操作部のパーツを2つにすることで、大げさな嵌合部がなく、スリムで軽量化を図ることに成功しました。
さらに、蓋が閉まる際にわざとカチッと音がなる構造にしています。
視覚障害を持った方だけでなく、口紅に目を落とさなくても蓋を安全に閉められる、より進化したユニバーサルデザインを追求した化粧品容器です。
プラシーズで今後進めていきたいこと
プラシーズでは今後ワンタッチリップのみならず、クリーム容器、マスカラ容器、コンパクト、パウダー容器、水物(ボトル)容器といった化粧品容器の主となるものをユニバーサルデザインの規格で揃えることを考えております。
化粧品を普段使っている皆様が、プラシーズの開発した容器で揃えて使って頂くことが目標となっており、製品化に向けて開発中です。
これからの市場のニーズにいち早く対応するために、プラシーズと一緒にユニバーサルデザインの化粧品容器を作ってみませんか?
ご興味ありましたらお気軽にお問合せフォームまたはお電話よりご連絡をお待ちしております。
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