化粧品容器にも環境対応が必要?機能性の高いサステナブル容器に迫る
いかがお過ごしでしょうか。プラシーズ開発部のKです。
皆様は、化粧品の容器には様々な機能が備わっていることを知っていますか?
基本的な容器の機能として、中身の破損や腐敗などを防いで状態を保全するといった「中身を守る」機能があります。
その中でも化粧品容器は求められる機能が多く、「デザイン」や「使用感」以外にも「環境対応」などといったあらゆる機能が重要な要素になってきます。
今回の記事では、そんな化粧品容器に必要な機能をテーマに、環境にも配慮した機能性の高い製品をご紹介していきます。
化粧品容器のルール
そもそも化粧品容器に様々な機能が備わるようになったのはなぜでしょう。
そこには、製造物責任法(PL法)というものが深くかかわっています。
容器に機能を備えるキッカケとなった製造物責任法
製造物責任法(PL法)とは化粧品容器に限らず、あらゆる製品を利用する消費者を保護するために定められた法律です。
1995年に製造物責任法(PL法)が施行されてから、化粧品容器に適用された「あってはならない」とされているものは以下の通りになります。
- 設計上の欠陥
- 製造上の欠陥
- 表示上の欠陥
こうした欠陥を見落とさずに化粧品を発売するには、試作品の段階で使用を前提にした様々な試験を行うことが必須です。
より品質の高い容器をつくるため、試作と試験を繰り返すうちに化粧品の容器に必要な機能が徐々に明確化されました。
化粧品容器に必要不可欠な4+1の機能
化粧品容器が備えるべき機能は大きく4つ「安全性・安定性・利便性・意匠性」があります。
この4つの機能を満たさなければ、いかに技術を盛り込み、高価な材料で製品をつくったとしても化粧品容器としての価値が失われます。そのため、この4つの機能は化粧品に必須機能と言えます。
また、新たに必要となる機能として「環境対応」があります。これまでの機能性を保ったまま、環境に配慮した容器はつくれるのでしょうか。順番に解説していきます。
化粧品容器に最も重要な機能は「安全性」
化粧品の華やかなイメージから、容器に求められる機能は意匠性だけと考えられることもあります。
しかし最も重要な機能は、消費者が化粧品の中身を安全に、万全な品質で使い切ることです。
もちろん、中身だけでなく消費者の手に触れる部分にも安全性の機能は重要です。例えば、容器の角部は丸く設計して肌に傷を付けないような工夫がされています。
他にも、容器を化粧品だと気付きやすい形状にして、食品と勘違いした誤食などを避ける機能や、ラベルの商品名や使用方法など重要な表記が簡単に消えないようにする機能など、使用者の安全に関わる機能だけでも数多くあります。
容器の中身を守る「安定性」
化粧品において、安定性は容器の「中身を守る」という意味では非常に重要な機能と言えるでしょう。
化粧品の成分は人肌や髪などに合わせているため、繊細で品質が変化しやすい特性を持ちます。
そのため、中身を使い切るまでに品質が変化しないようにする機能が求められます。
化粧品の中身が変質する理由と、容器側でできる改善策は以下の通りになります。
太陽光などによって、化粧品の光や紫外線に弱い成分が劣化する
→透明な容器から、光や紫外線を通しにくい機能を持つ不透明な容器に変える
空気中の酸素、水分が中身と反応して酸化する
→容器に空気の透過率を下げる機能を持った、金属の層を追加する。
→中身が逆流しない機能を持った、ポンプ容器やチューブ容器などを使用する
容器と中身の相性が悪く、分離や溶解する
→容器の材料を適切なものへ変更する
実は、容器と化粧品の相性は、実際に充填して確認するまでほとんど分かりません。
短期間の保管では変化が無くても、使い切るまでの保管期間によっては物性が変わることがあります。そのため、類似品であっても相性のテストは欠かせません。
使い易さを追及する「利便性」
利便性とは、使用感やクリック感・持ちやすさなどの機能です。主な手法として、人が「使い易い」と感じる、人間工学に基づいて化粧品容器は設計されています。
利便性を確保すると、化粧品の容器として「無理なく安全に使用できる」という信頼を得られます。
この利便性を追及するには様々な工夫が必要で、化粧品の中身に適した容器の材質や形状などの要素から追及する必要があります。
材質は主に樹脂、ガラス、紙の三種類に分類されます。
樹脂
ポピュラーな材質で安価かつ軽量で容器製造に適した性質を多く持ちます。
加工しやすい材料で形状選択の幅が広く、デザインを反映しやすい特性が化粧品容器に合った材質であることを示しています。
樹脂の種類によって透明性などの機能が変わってくるため、中身の種類が無数にある化粧品でも容器として相性の良い樹脂を探すことが可能です。
ガラス
空気や熱による中身の酸化を起こしにくく、容器に高級感を与えられることが特徴です。
外部からの影響を受けにくいので変質しやすい中身に適した容器と言えます。
ただし、樹脂と比べると重いので衝撃によって壊れやすいのが難点であり、輸送には細心の注意が必要です。
紙
環境問題に対応する新たな材質として注目を浴びています。
樹脂製の容器と比較して、製造に金型はあまり使わないので新規形状を作りやすく、紙の上から合皮などを貼って加飾できるため、樹脂やガラスと一線を画す表現力があります。
化粧品の紙製容器は開発されて間もないため、容器の種類があまりないことがネックになります。
また、容器には様々な形があり、化粧品の中身によって適した形状が変化します。
それぞれの容器に適した中身は以下の通りです。
細口ボトル容器 | 化粧水や乳液など |
---|---|
ジャー容器 | クリームやヘアトリートメントなど |
ポンプ容器 | シャンプーやコンディショナーなど |
チューブ容器 | クレンジングジェルやハンドクリームなど |
エアゾール容器 | ヘアスプレーやムースなど |
コンパクト容器 | ファンデーションやチークなど |
塗布具付き容器 | マニキュアやリップグロスなど |
繰り出し容器 | 口紅やリップクリームなど |
これらの材質と形状の組み合わせで、利便性のある容器を数多くの選択肢からつくることができます。
購買意欲を高める「意匠性」
意匠性が優れた化粧品容器は消費者の目を引き、製品としての価値を向上させます。
意匠性が機能する場面は以下になります。
- 化粧品を使用しているとき
- 化粧台やドレッサーなどに並んでいるとき
- 店頭に陳列されているとき
このように意匠性は、容器にわかりやすく付加価値を与えます。
一方で、意匠性にばかりこだわった化粧品容器は、利便性と安全性に不安を与えます。
法定表示を守って魅力的な表現をすることが、より多くの消費者へ価値を届けるポイントになるでしょう。
5つめの機能「環境対応」
ここまでご紹介してきた4つの機能は、化粧品容器に必須と言える機能です。
どれか一つでも欠ける事があったら、化粧品容器としての価値は無くなってしまいます。
5つめの機能である「環境対応」は、これからの化粧品容器に必須となりえる機能です。
近年、環境問題への意識が高まっており、どの業界でも環境問題への対応が求められる様になってきました。ブランドイメージが大切な化粧品業界も例外ではなく、メーカー各社は環境対応の機能を備えたサステナブルな製品の開発に取り組んでいます。
環境対応の機能を持つ化粧品容器の例として、廃棄する際に原材料毎に分解できたり、中身の詰め替えが可能になる「レフィル容器」などがあります。
サステナビリティの重要性
プラシーズは主に化粧品容器の製造販売を行っており、材料はプラスチックと紙を扱っています。プラスチックごみ問題はCO2排出量削減と密接な関係となっており、企業としての社会的責任を果たすサステナビリティな取り組みを続けてきました。
その取り組みとは環境への負荷が少ないサステナブル素材を使ったものづくりです。
プラスチックなら環境に優しい生分解性プラスチックやバイオマスプラスチック、紙はFSC認証紙やバガスへの移行提案など、様々な取り組みを積極的に行ってきました。試作だけに留まらず、商品として販売されている事例も数多くあります。
客観的にサステナビリティを評価するシステム
プラシーズでは、2022年にEcoVadis社の評価システムを導入しました。
EcoVadis社は世界175ヵ国で200を越える業種から10万社もの企業評価を行っている国際的なサステナビリティ評価機関です。世界有数のサステナビリティアナリストによる検証と評価は客観性・信頼性・比較可能性が高く、最も信頼されるサステナビリティ評価になっています。
プラシーズがEcoVadis社からの評価を受けるまでの経緯はこちらのプレスリリースからご覧いただけます。
国際的な評価機関 EcoVadis社の評価を取得。環境負荷の少ない素材研究と省資源化設計で、真のサステナビリティ実現を目指す。 – 株式会社プラシーズのプレスリリース (value-press.com)
EcoVadis社の評価を活用して機能性の高い容器をつくる
EcoVadis社の企業の社会的責任における取り組みの評価項目は以下の通りになります。
- 環境
- 労働と人権
- 倫理
- 持続的な調達
評価は詳細なフィードバックを含むスコアカードで知ることができ、サステナビリティとパフォーマンスの改善に役立ちます。
評価システムを導入後、2023年にプラシーズはEcoVadis社からの評価を取得しました。フィードバックを元に真のサステナビリティ実現について優先して取り組むべき課題を抽出できたため、現在は方針を明確化して打ち出す段階に進むことができました。
ここで肝心なのがプラシーズの設計力です。
設計段階からの構成部品の見直し、不要な部品の削減を図るなど、無駄な材料を出さない省資源化設計を意識することでよりサステナブルな製品の実現を目指すといった目標設定をすることができます。
サステナブルの概念から客観的評価を得ることで、今後必要になってくる化粧品容器を予測し、機能性の高い製品をつくり続けることが可能になるのです。
プラシーズの容器は環境対応が可能
プラシーズのつくる容器は、必須とされる「安全性・安定性・利便性・意匠性」の4つの機能はもちろん、5つ目の「環境対応」の機能も備えた製品です。
生分解する紙からつくった容器「パルプモールド」
上記の紙器はプラシーズの実績品で、材料は紙のみで成形されたパルプモールドとなります。
紙は生分解性に優れており、自然に還る機能を持っています。
他にも、紙でできた化粧品容器をこちらで紹介しておりますので、是非ご覧ください。
紙器 – 株式会社プラシーズ (pluseeds.co.jp)
捨てられるはずだった材料で成形「移行材ボトル」
こちらは、再生PETの「移行材」で成形したボトル容器です。
移行材とは、樹脂製造時に同じ成形機上で、樹脂グレードを切り替える際に出てしまう材料を再利用したものです。
この移行材は樹脂メーカーの工場で年間100tもの廃棄される規格外材料からできているため、通常の樹脂材料よりも約25%以上のコスト低減を可能にするサステナブルな容器をご提案することができます。
この容器は物性試験などを重ねた結果、容器としての品質を満たしていることが確認されているため、安心して使うことのできる材料です。
移行材を用いた容器のプレスリリースはこちらからご覧いただけます。
老舗プラスチックメーカーの挑戦~年間100t廃棄されていたプラスチック原料を再利用し製品化へ~ – 株式会社プラシーズのプレスリリース (value-press.com)
終わりに
化粧品容器としての価値を生み出すには、様々な機能が必要であることがわかりました。
プラシーズでは安全性・安定性・利便性・意匠性の必須機能に加えて、環境対応が出来る容器の開発にも取り組んでいます。
今回紹介した紙器や移行材を用いた容器の他に、バイオマス材料を使用した繰り出し容器やコンパクト容器など数多くの試作実績がございます。
環境に配慮した容器や優れた機能を持つ容器の製造についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせフォーム、もしくはお電話にてお問い合わせください。
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