紙の生分解で変えられる未来

紙の生分解で変えられる未来

プラスチックに代わる材料として検討が進んでいる紙。ここでは脱プラスチックの流れと一緒に生分解できる紙が注目される理由について触れていこうと思います。

プラスチックが引き起こす環境問題

日常的に利用しているプラスチックが廃棄される量は年間約850万トンに上ります。そのうち約40パーセントはペットボトルなど使い捨てのプラスチック製容器包装となっています。

回収できなかったものは自然環境で堆積していき、海洋プラスチック問題やマイクロプラスチック問題に発展します。
近年、プラスチックによって引き起こされた環境破壊が相次いで取り上げられており、企業や生産者側はSDGsやESGに則した持続可能な環境を実現するための行動が不可欠になりつつあります。

主な行動として

  1. プラスチック製品の生産数減少
  2. プラスチックごみの回収、リサイクル技術の向上
  3. 紙などの代替材料の検討
  4. 生分解性を付与した製品の生産

などが挙げられ、脱プラスチックや自然環境にゴミを放出しないといった目的があります。この記事では紙と生分解について触れるので3と4がメインになります。

プラスチックに代わる紙

紙はプラスチックの代替材料として注目を集めています。
プラスチックの殆どがいずれ枯渇する可能性がある化石燃料から作られ、分解に時間がかかってしまいます。

一方の紙は再生可能な資源から作る事ができます。

木材、サトウキビ搾汁後の残渣であるバガスや麻の一種のケナフなどの非木材原料から作ることができ、自然環境中で紙は生分解しやすいという利点が注目されている理由です。

また、紙はプラスチックで出来た製品の多くを再現可能で、実際に紙ストローなどの一部は既に紙への切り替えも始まっています。

非木材原料のバガス

非木材原料のバガス 出典:wikipedia

紙はプラスチックと比べると水に弱かったり、強度的な問題を抱えていました。

ですが、紙についての技術は日々進歩しており、耐水性や耐油性を付与することでプラスチックと同等の強度を出すことが可能になっています。

しかし、結局のところ紙の多くは木から作られているから森林伐採による環境破壊は止められないのでは?と考えてしまうかもしれません。

そこはFSC認証を受けた木材を使用することで環境負荷を抑えることができます。

FSC認証とは?

FSC(Forest Stewardship Council)認証は森林管理協議会が定めた制度で継続可能な森林管理のもとで作られた製品を認証するものです。

この認証制度はSDGsの視点からも有効でSDGsの目標15である【陸の豊かさも守ろう】を達成できる他に目標1、2、3、4、5、6、7、8、12、13、14、16、17の達成にも貢献で
きます。

FSCロゴ及びマーク

FSCロゴ及びマーク 出典:Forest Stewardship Council

FSC認証を受けた木材であれば紙の原材料採取から廃棄までにかかる環境負荷を抑えることが可能になります。
FSC認証を受けた木材を使用することは

  • 違法伐採された木材ではなく、信頼性のある管理された木材である証明
  • 企業のCSR及び環境配慮を考えた取り組み、姿勢の強調
  • 自社の製品に付加価値を付け、他社製品との明確な差別化が可能

であることを意味します。

生分解について

生分解とは、生分解性を持った物は自然環境中の微生物に働きによって分解されて最終的には水とCO₂に分かれ、自然環境に還元される仕組みです。

生分解で出来た水は木の成長に、CO₂は樹木が吸収することで地球温暖化の防止にも繋がります。

生分解可能な紙

また、先ほどのFSC認証を受けた木材であれば紙の原材料採取から廃棄までにかかる環境負荷を抑えることが可能になります。

紙は生分解性が良く、プラスチック製品より短い期間で分解されます。そのため、回収できずに自然環境中に放出されても、堆積する前に分解し、環境問題に発展することを防ぐことができます。

回収した場合は再利用可能なら新たに紙製品として使用できます。
再利用ができない場合は、プラスチックより低い温度で燃やすことができるため、焼却炉をあまり傷めずにダイオキシンなど有害な気体の発生も抑制できるという多くの優れた点があります。

しかし、良いところがあれば悪いところもあります。

現状、紙のストローを1本作るのにかかるコストはプラスチックより2~3倍にもなることからコスト面での負担が大きくなります。

また、紙の生産に必要なエネルギーも高いことがネックで紙1トンにつき必要な水の量は50倍になると言われています。

このようなことから代替材料として紙を選ぶ場合は、プラスチックとは異なる環境対策、省エネルギー化が不可欠になります。

紙を製造する際に燃料として使われる化石燃料の割合を減らして、代わりに燃焼させる可燃性の廃棄物の割合を増加させることで、CO₂削減による環境負荷を考えたエネルギー利用を進めることなどから手を付けていくことが重要になります。

生分解できないプラスチック

プラスチックは生分解できず、分解にかかる時間は長くなります。

例としてコンビニなどで利用するビニール袋や何気なく購入しているペットボトルの分解にかかる年数は

  • ビニール袋 10~20年
  • ペットボトル 450年

という具合に長い時間が必要です。

プラスチックは自然環境中の微生物によって生分解できないことが大きく、光分解や熱酸化分解などでしか分解できないことが挙げられます。

生分解とは違って水とCO₂になるのではなく、プラスチック自体がどんどん細かくなっていくのでマイクロプラスチックとして散らばっていき、回収が殆どできません。

プラスチックに生分解性を付与することもできますが、強度が強いものを目指すと生分解性が悪くなり、逆に生分解性を良くしようとすると強度が弱くなるといった関係になっており、二つの性質の両立と使用期間の設定が課題となっています。

また、プラスチックで作られる製品は基本的に使い捨てるものが多いので、紙と同様に生産コストが高くなってしまう欠点を抱えています。

プラスチックの代替材料として、簡単な方法で分解可能な生分解性を持った材料が求められています。

まとめ

ここまでをまとめると海洋プラスチック及びマイクロプラスチック問題の中心にあるのは自然環境に蓄積しているプラスチックです。このままでは蓄積が進む一方なので、脱プラスチックを目標にして環境に優しい材料を検討する必要があります。
 
プラスチックの代替材料には紙が注目されていて、紙は生分解性に優れ、再生可能な資源を使用しているので持続可能な社会の実現に貢献できます。

しかし、生産コストや生産に必要なエネルギーの面ではプラスチックに劣っており、今後の技術革新・環境変化によるところがあります。

次に懸念されることはプラスチックから紙へ移行するにつれて紙の生産量が増大していく点です。

FSC認証を受けた木材が足りなくなり、森林伐採の影響で地球温暖化の加速や砂漠化などの環境問題の悪化に繋がる可能性があります。

そのため、一斉にプラスチックから紙に移行するのではなく、少しづつ移行することでゆるやかに脱プラスチック化を進める必要があります。

そうすることで紙が生分解し、自然に資源が還っていく速度と紙を製造する速度が釣り合い、安定して紙製品が供給できるようになります。

紙製品を安定的に供給できるようになると、プラスチックの生産・廃棄される量が減少していき、SDGsの目的である『持続可能な環境』を実現できると考えます。

プラシーズの取り組み

プラシーズはプラスチック容器だけでなく紙器の製作も行っており、FSC認証を受けた紙やバガスなど、環境への負担が少ない紙を使用しています。
 
ここでプラシーズの紙器を1個紹介します。

パルプモールドの紙器

パルプモールドの紙器

この紙器は紙100%で成形したものです。原料が紙だけということは…生分解性が良い優れた製品です!

今後も、新しく環境に優しい紙が開発された際には紙器への実用が可能か検討し、長年培ってきた製作技術で環境に配慮が行き届いた紙製品作りを行っていきます。